創作用語集

執筆、物語づくり、出版にまつわる用語271件をわかりやすく解説。

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あ

アイロニー(皮肉)

言葉の表面とは反対のことを意味したり、結果が予想を裏切ったりする技法。

アウトライン(構成案)

書きはじめる前に、主なプロットポイント、人物の変化、物語の構成を書き出しておく、物語の設計図。

アクトブレイク(幕の切れ目)

脚本やテレビドラマの脚本で、幕と幕を区切る構造上の切れ目。たいてい緊張が高まる瞬間や、状況がひっくり返る瞬間に置かれます。

アンチクライマックス(拍子抜け)

高めてきた緊張に対して、期待外れで物足りない決着がつくこと。待ち望まれた見せ場が訪れずに終わります。

アンチヒーロー

道徳心や勇気、理想といった典型的な英雄の資質を欠きながら、物語の中心に立つ主人公。

イメージ表現(イメジャリー)

五感に訴える鮮やかな描写の言葉。読者の心に情景を描き出し、物語の世界に引き込みます。

イン・メディアス・レス(事件の只中から始める)

時系列の最初からではなく、出来事の真っ最中から物語を始めること。

ヴィネット(小品・スケッチ)

決まった筋立てに従わずに、ある瞬間や気分を切り取って描く、短く印象的な場面やスケッチ。

ヴィラネル

三行連五つと結びの四行連からなる十九行の詩形。二つの繰り返し句(リフレイン)とABAの押韻で組み立てられます。

ヴォルタ(転換)

ソネットのなかで、論や気分、視点が切り替わる修辞上の「転換」。

ウォントとニード(望みと必要)

人物が自覚している望みと、成長のために本当に必要としている(多くは無自覚の)ものとの対立を軸にした、キャラクターアークの基本概念。

エッセイ(随筆・小論)

書き手が論証や思索、個人的な体験を通して、ある主題を探っていく短い散文作品。

エトス・パトス・ロゴス

アリストテレスが示した説得の三要素。エトス(信頼性)、パトス(感情)、ロゴス(論理)。

エピグラフ(題辞)

本や章の冒頭に掲げる短い引用や格言。作品のテーマを暗示したり、全体の基調を定めたりします。

エピファニー(啓示の瞬間)

人物にふいに訪れる気づきや啓示の瞬間。自分自身や置かれた状況の見え方が、そこで変わることが多くあります。

エピローグ(終章)

本筋の決着のあとに置かれる結びの部分。人物たちのその後を垣間見せたり、物語のより大きな意味を振り返ったりします。

オートフィクション(自伝的虚構)

自伝とフィクションを混ぜ合わせたジャンル。作者は自分の人生を素材にしながら、出来事を自由に作り変え、創作し、想像し直します。

さ

サイバーパンク

情報技術が隅々まで行き渡り、巨大企業の支配、身体改造、社会の荒廃が進んだ近未来を舞台にするSFのサブジャンル。「ハイテク、ローライフ」と要約されます。

サブテキスト(言外の意味)

台詞や行動、描写の表面の下に隠れている、言葉にされない意味。

サブプロット(副筋)

本筋と並行して進み、物語に深みと奥行きを加える副次的な筋。

シーンとシークエル

シーン(目標・葛藤・災難)のあとにシークエル(反応・ジレンマ・決断)が続く構成のパターン。物語の推進力を生む基本的なリズムになります。

シノプシス(結末までのあらすじ)

エージェントや出版社への投稿に使う、結末まで含めた原稿のプロット全体の簡潔な要約。

ジャンル

共通のお約束、テーマ、読者の期待によって特徴づけられる文学作品の分類。物語の書かれ方と受け止められ方を形づくります。

ジャンルのお約束(ジャンル・コンベンション)

特定の文学ジャンルを特徴づける、読者が期待する要素、定番の型、構成のパターン。

ジャンル小説(エンターテインメント小説)

ロマンス、スリラー、ファンタジー、ミステリー、SFなどの種類に分けられ、確立されたお約束と読者の期待に沿って書かれる小説。

スタティック・キャラクター(変化しない人物)

根本的な価値観や信念、性格が、物語の始まりから終わりまで本質的に変わらない人物。

スチームパンク

蒸気機関や歯車仕掛けなどのアナログな機械技術が史実をはるかに超えて発達した、多くはヴィクトリア朝や十九世紀風の歴史改変世界を舞台にする思弁小説のサブジャンル。

ステークス(失うもの・得るもの)

物語の葛藤の結果、人物が得るかもしれないもの、失うかもしれないもの。読者が物語を気にかける理由になります。

ストーリー・アーク

一つの完結した物語が、始まりから中盤、結末へと進む流れ。最初の状態から葛藤を経て決着に至るまでの変化をたどります。

スペキュレイティブ・フィクション(思弁小説)

私たちの世界とは異なる世界を想像する小説の総称。SF、ファンタジー、ホラーとその周辺ジャンルを含みます。

スラグライン(柱)

脚本の場面見出し。その場面が屋内か屋外か、場所はどこか、時間帯はいつかを示します。

スリラー

サスペンス、危険、高まる危機(ステークス)が物語を動かすフィクションのジャンル。主人公が破滅的な事態を生き延びられるか、防げるかに焦点を当てる。

セカンダリー・ワールド(第二世界)

地球や現実と直接つながりのない、まるごと創り出された架空の世界。物語の舞台のすべてを担います。

セスティーナ

六行連六つと三行の結び(アンヴォワ)からなる三十九行の詩形。行末の語が決まった順序で連から連へと巡っていきます。

センシティビティ・リーダー

描かれる側の当事者としての経験をもち、原稿の描写が本物らしく敬意あるものになっているかを確認する読み手。

センシティビティ編集

社会的に周縁に置かれた人々の描き方に、有害な表現や固定観念、不正確な点がないかを原稿で確認すること。

ソネット(十四行詩)

弱強五歩格で書かれる十四行の詩。いくつかの確立された押韻パターンのどれかに従います。

た

ターニングポイント(転換点)

人物の選択や事実の発覚によって、物語が向きを変える決定的な瞬間。

ダイナミック・キャラクター(変化する人物)

物語の出来事を通じて、内面が大きく変化する人物。

チェーホフの銃

物語に登場させた要素は、すべて何らかの役割を果たすべきだという原則。銃を見せたなら、いずれ撃たれなければならない。

つなぎ(トランジション)

考えと考え、段落と段落、節と節を結び、論理の流れとまとまりを生む語句や文。

ディープPOV(密着した視点)

語りの距離をなくした、ごく近い三人称の視点。読者を人物の体験のなかへ直接引き込みます。

ディストピア小説

抑圧的で悪夢のような社会を舞台に、現実世界の政治、社会、技術の動向を批評する思弁小説のジャンル。

ディベロップメンタル・エディット(内容面の編集)

プロット、人物、テンポ、物語全体の効果に踏み込む、構成レベルの深い編集。

デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)

絶体絶命の状況を、それまでの物語に伏線も根拠もない、思いがけないご都合主義の手段で解決してしまうこと。

テーゼ・ステートメント(主張文)

エッセイや研究論文の中心となる主張。ふつう一文か二文で示します。

テーマ(主題)

物語が人物や葛藤、出来事を通して探っていく、中心となる考えや根底にある意味。

デヌーマン(結び)

決着のあとに置かれる最後のまとめ。新しい日常を示し、残った糸を結びます。

トーン(語調)

題材や読者に対する作者の態度。言葉選び、文の組み立て、文体を通して伝わります。

トリートメント

映画やテレビドラマの物語を散文でまとめたもの。ふつう5ページから30ページほどで、せりふや技術的な書式を使わず、現在形で物語を書き表します。

トロープ(定番の型・お約束)

多くの作品で繰り返し使われ、受け手がそれとわかる、おなじみの物語の仕掛けやモチーフ、お約束。

どんでん返し(プロット・ツイスト)

それまでの出来事の意味を塗り替え、読者が信じていたことが不完全か、あるいは間違っていたと明かす、期待の逆転。

ト書き(ステージディレクション)

脚本のなかで、人物の行動や動き、舞台や場面の設定、技術的な要素を、演じ手とスタッフに向けて書いた指示。

は

ハードな魔法とソフトな魔法

はっきりした制限のあるルール重視の魔法体系から、神秘的で定義されない魔法の力までの幅。

バックストーリー(過去の設定)

物語が始まる時点の人物をかたちづくった、その人の過去の経歴や出来事。

バラッド(物語詩)

もともと歌うためにつくられた物語詩。平易な言葉、繰り返し、規則的なリズムで劇的な物語を語ります。

パレンセティカル(せりふに添える指示)

脚本のせりふのなかに括弧で書き添える短い指示。せりふの言い方や、それに伴う動作を示します。

パンツィング(発見型の執筆)

あらかじめアウトラインを決めずに、書きながら物語が自然に立ち上がってくるのに任せる、発見型の書き方。

パントゥーム

四行連を連ねる長さの決まっていない詩形。各連の二行目と四行目が、次の連の一行目と三行目になります。

ビート(劇のビート)

場面のなかの小さな行動の単位、または感情の変化。人物の作戦や場面の力関係が切り替わる点を示します。

ビートシート

物語が押さえるべき構成上の主なビートを、場面ごとに書き出した設計図。

ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅/モノミス)

ジョーゼフ・キャンベルが見いだした、普遍的な物語の型。英雄が日常の世界を離れ、特別な世界で試練に立ち向かい、生まれ変わって帰ってきます。

ビルドゥングスロマン(教養小説・成長小説)

主人公が若者から大人へと成長していく、心の成熟と道徳的な発達を描く小説。

ピンチポイント

敵対者の脅威を読者に思い出させる瞬間。ふつうは物語のおよそ37%と62%の地点、つまり第二幕の前半と後半それぞれの中ほどに置かれます。

ファンタジー

架空の世界を舞台にしたり、魔法や伝説の生き物、異界の力といった超自然の要素を扱ったりする思弁小説のジャンル。

フック(つかみ)

読者の注意をつかみ、先を読まずにはいられなくさせるために置かれる、物語の冒頭の仕掛け。

フライタークのピラミッド

グスタフ・フライタークが考案した、物語を導入、上昇展開、クライマックス、下降展開、デヌーマンの五つの段階でとらえる劇の構成モデル。

フラッシュ・フィクション(掌編小説)

英語でおおむね1,000語未満のごく短い小説。極限まで切り詰めた言葉で、一つの完結した物語を語ります。

フラッシュバック(回想)

現在の時間の流れを中断して、それより前に起きた出来事を描く場面や一連の場面。

フラッシュフォワード(先説法)

時間を先へ飛ばし、まだ起きていない出来事を描く場面や一節。

フラット・アーク

主人公の根本的な信念は変わらず、代わりに主人公が周囲の世界を変えていくキャラクターアーク。

フラット・キャラクター(平面的人物)

一つの特徴や考えを軸につくられ、心理的な複雑さや内面の葛藤をもたない人物。

ブレインストーミング

良し悪しの判断や自己検閲をせずに、物語のアイデアや人物の構想、創作上の解決策を生み出し、育てるための技法。

プレミス(物語の前提)

物語がそれを試すために組み立てられる、ただ一つの核となる着想。ふつうは主人公、状況、テーマ上の問いとして、一、二文で言い表せます。

プロッティング(計画型の執筆)

初稿を書きはじめる前に、物語を細かく計画し、構成を組み立てておくこと。

プロット(筋)

因果でつながった出来事の連なりで、物語の背骨をなすもの。原因と結果の論理があることで、ただの時系列と区別されます。

プロットの穴(矛盾・破綻)

物語の内部の論理に生じた不整合や矛盾、抜け落ち。原因と結果のつながりを断ち切り、読者を物語から引き戻してしまいます。

プロットポイント

物語の向きを変え、物語を前へ押し進める重要な出来事。

プロローグ(序章)

本筋の前に置かれる導入部。過去の出来事を伝えたり、作品の調子を定めたり、本筋の時間の外にある出来事を見せたりします。

ペーシング(テンポ配分)

物語が展開していくリズムと速さ。文の長さ、場面の組み立て、緊張の加減によって調整します。

ベータリーダー

原稿を投稿したり出版したりする前に、無償で読んで感想を伝えてくれる読者。

ベータリーダーのフィードバック

最初の読者たちから寄せられた感想を、食い違う意見や実行できる指摘を見きわめながら推敲に取り入れていくこと。

ペンネーム(筆名)

著者が本名の代わりに、あるいは本名と並べて作品に用いる別の名前。プライバシーの保護、ブランドづくり、ジャンルの書き分け、個人的な好みなどの理由で使われます。

ボイスオーバー(ナレーション)

映画やテレビ番組で、画面に映っていない話し手が、映像に重ねて語るナレーション。

ポジティブ・アーク

主人公が欠点や思い込みを乗り越え、よりよい自分へと成長するキャラクターアーク。

ホラー

恐怖や戦慄、不安を呼び起こすための小説のジャンル。怪物的なもの、不気味なもの、心をかき乱すものと、登場人物と読者を向き合わせます。

ま

マキシマリズム

過剰さ、手の込んだ描写、長い文、脱線を特徴とし、言葉と構成の豊かさを積極的に受け入れる文体。

マクガフィン

プロットを動かすものの、それ自体にはほとんど意味のない物や目的。大切なのは、登場人物がそれを欲しがっていることです。

マジックリアリズム(魔術的リアリズム)

超自然的な出来事や幻想的な要素が、写実的な物語のなかで当たり前のこととして描かれる文学の手法。

ミステリー(推理小説)

犯罪や謎、多くは殺人の捜査と解決を中心にした小説のジャンル。手がかり、容疑者、論理的な推理によって物語が進みます。

ミッドポイント(中間点)

物語のちょうど中ほどで起きる大きな逆転や発覚。ステークスを一気に引き上げます。

ミニマリズム

無駄のない言葉、短い文、抑えた感情、凝った描写や説明の省略を特徴とする文体。

ムード(作品の気分)

作品が読者のなかに呼び起こす感情。言葉選び、イメージ、テンポ、文のリズムといった文章の技法によって生み出されます。

メアリー・スー

完璧すぎて誰からも愛され、苦もなく何でもこなすために、物語の緊張が崩れてしまう人物。作者の願望をそのまま投影した分身と見なされることが多い。

モチーフ

作品のなかに繰り返し現れ、テーマを展開したり強めたりする要素。

モンタージュ

時間を縮めたり、同時に進む出来事を見せたり、テーマを伝えたりするために、短い場面や映像をつなぎ合わせた一連の流れ。

その他

ARC(刊行前の見本版)

発売前に早くから話題をつくるため、書評家や書店、メディアに配られる刊行前の見本版。

Bストーリー

物語のテーマを担う副次的な筋。人間関係の変化を描くものが多く見られます。

ISBN(国際標準図書番号)

本の特定の版ごとに割り当てられる、13桁の固有の国際標準図書番号。

NaNoWriMo(ナノライモ)

National Novel Writing Month(全米小説執筆月間)の略。11月1日から30日までに5万語の長編小説を書き上げる挑戦で、運営団体は2025年に閉鎖されましたが、今も多くの書き手が個人で取り組んでいます。

SF(サイエンス・フィクション)

科学や技術の変化がもたらす結果を探る思弁小説のジャンル。現実の、あるいは理論上の発明によって形づくられた未来や、別の現在、過去を想像します。

愛しいものを殺せ(Kill Your Darlings)

自分では気に入っていても物語の役に立たない箇所は削る、という執筆の原則。

悪役(ヴィラン)

悪や道徳的に許されない目的を自ら追い求める人物。意図的な悪意や堕落がある点で、単なる敵対者とは区別されます。

意識の流れ

人物の頭に浮かぶ考えを、途切れることなく、ふるいにかけずにそのまま表そうとする語りの技法。

一人称の語り

物語のなかの人物が「私」や「私たち」として語る形式。その人物の考えや知覚にじかに触れられます。

印税(ロイヤリティ)

本が一冊売れるごとに著者に支払われる、売上の一定割合。定価か出版社の正味収入を基準に計算されます。

印税の前払い金(アドバンス)

将来の印税収入から差し引かれる前提で、出版社が著者に先払いするお金。

引き立て役(フォイル)

主人公と対照をなすことで、主人公の特徴や価値観、欠点を際立たせる人物。

引用・出典表記

参照した資料の出典を示すこと。原著者の功績を明らかにし、読者が資料にたどり着けるようにします。

引喩(アリュージョン)

よく知られた人物、場所、出来事、文学作品などに、短く遠回しに触れること。

隠喩(メタファー)

「〜のような」を使わずに、あるものを別のものだと言い切り、暗黙の比較によって意味を生み出す修辞技法。

韻律(ミーター)

詩の一行のなかで、強勢のある音節とない音節が織りなすリズムのパターン。詩の根底にある拍を生みます。

韻律分析(スキャンション)

詩の一行の韻律のパターンを分析し、記号で書き込んでいく作業。

押韻パターン(ライム・スキーム)

詩の行末の押韻の並び方。ふつうはアルファベットで表し、同じ文字の行どうしが韻を踏んでいることを示します。

下降展開(フォーリング・アクション)

クライマックスのあとに続き、決定的な対決がもたらした結果を見せる一連の出来事。

会話文(台詞)

登場人物どうしが交わす言葉。人物の個性を明らかにし、プロットを進め、緊張感を生み出します。

回想録(メモワール)

作者自身の体験をもとにしたノンフィクション。人生のすべてではなく、特定のテーマや時期、人間関係に焦点を絞ります。

葛藤(コンフリクト)

物語のなかで対立する力のぶつかり合い。プロットを前へ進め、人物を行動へと駆り立てます。

感傷的誤謬(パセティック・ファラシー)

自然や天候に人間の感情があるかのように描き、多くは人物の心の状態を映し出すこと。

換喩(メトニミー)

あるものを、それと深く結びついた別のものの名前で言い表す修辞技法。

擬音語(オノマトペ)

それが表す音を、言葉の響きでまねたり連想させたりする語。

擬人法

人間でないものに、人間のような性質を与える修辞技法。

脚本(スクリーンプレイ)

映画やテレビ番組の制作のための完成した台本。せりふ、ト書き、柱(シーン見出し)、技術的な指示を、決まった書式で書いたものです。

逆説(パラドックス)

一見自己矛盾しているようでいて、より深い真実を明らかにする言葉や状況。

凝った発話動詞(セッド・ブッキズム)

「言った」の代わりに「叫んだ」「宣った」のような凝った動詞を多用し、かえって会話文の邪魔をしてしまうこと。

緊張感

読者にページをめくり続けさせる、先の見えなさや予感、落ち着かなさ。

句またがり(アンジャンブマン)

文や句が、休止を置かずに詩の行末を越えて次の行へと続いていくこと。

句切れ(カエスーラ)

詩の一行のなかに置かれる意図的な休止や切れ目。句読点や、自然な話し言葉のリズムによって示されることが多くあります。

寓意(アレゴリー)

登場人物、出来事、舞台が、抽象的な観念や道徳的な概念を体系的に表している長い物語。

寓話

動物などを登場人物にして、教訓を伝える短い物語。

群像劇(アンサンブル・キャスト)

一人の主人公を中心にするのではなく、複数の人物がほぼ同じ比重で描かれる物語の形。

劇的アイロニー

登場人物が知らないことを、観客や読者が知っているという形のアイロニー。

決まり文句(紋切り型)

使われすぎたために、本来の新鮮さや力を失ってしまった表現や言い回し、発想。

決着(レゾリューション)

中心となる葛藤に完全に決着がつき、新しい日常が始まる、物語の結末。

元型(アーキタイプ)

英雄、師、トリックスターなど、文化や文学の伝統を越えて繰り返し現れる普遍的な人物の型。

原稿(マニュスクリプト)

検討してもらうためにエージェント、編集者、出版社に提出する、書式を整えた本の完全な本文。

言葉の格(レジスター)

くだけた口語から改まった学術的な言葉まで、言葉づかいの改まり具合の度合い。

言葉選び(ディクション)

特定の効果や雰囲気、正確さを狙って、書き手が意図的に行う言葉の選択。

誇張法(ハイパーボリー)

強調や笑い、感情的な効果のために、わざとはっきりと大げさに言うこと。

五幕構成

古典演劇とシェイクスピア劇に根ざした、物語を五つの幕に分ける劇の枠組み。

語りの距離(ナラティブ・ディスタンス)

語り手と描かれる出来事とのあいだに感じられる心理的・感情的な近さ。ぐっと寄った接写から、突き放した俯瞰まで幅があります。

語りの声(ナラティブ・ボイス)

物語の語られ方を特徴づける、独自の文体、語調、個性。

語り手

物語を語る声、あるいは意識。作者とは別の存在で、読者の物語体験のすべてを左右します。

語数の目標

毎日の執筆量と、ジャンルの相場に合わせた原稿全体の長さについて立てる、語数の目標。

語数目標

一日ごと、一週間ごと、あるいは一回の執筆ごとに、書いた語数で測る具体的な目標。原稿を着実に進めるために使います。

交差配列法(キアスムス)

二つ以上の節の構造を逆順にして釣り合わせる修辞技法(AB:BAの型)。

控えめ表現(アンダーステートメント)

物事を、実際よりも小さく、取るに足らないもののように、わざと控えめに表す修辞技法。

校正(プルーフリーディング)

刊行前に、誤字、レイアウトの乱れ、細かな誤りを拾い上げる最後の点検。

校正記号

原稿やゲラに修正を指示するための標準的な記号と書き込み。編集上の変更を伝える共通の略記法です。

構成編集(ディベロップメンタル・エディット)

場面の順序、章の区切り、時系列、サブプロットの組み込み、テンポなど、原稿の物語の骨組みを組み直す編集。

合評会(クリティーク・グループ)

少人数の書き手が定期的に集まり、執筆中の作品を互いに読み合って詳しい感想を伝え合う集まり。

三人称一元視点

「彼」「彼女」などの三人称で語りながら、一度に一人の人物の考えだけに読者が触れられるようにする語りの形式。

三人称全知視点(神の視点)

すべてを知る語り手が、どの人物の考えにも入り込み、時間と場所を越えて出来事を明かし、その意味を論評する語りの形式。

三幕構成

物語を状況設定、対立、解決の三つに分ける、物語の枠組み。

散文詩

イメージ、リズム、比喩といった詩の技法を使いながら、改行せずに散文の段落で書かれる作品。

四行連(クワトレイン)

四行からなる連。西洋の詩で最も広く使われる連の形で、バラッドや讃美歌からソネット、自由詩まで用いられます。

子音韻(コンソナンス)

近くにある語の内部や語末で、同じ子音の音を繰り返すこと。

師(メンター)

主人公を導き、鍛え、知恵を授ける人物。主人公の変化のきっかけをつくったあと、身を引くことが多い。

視点(POV)

物語を語る立ち位置。読者がどの情報を知ることができるかを決めます。

視点が生む文体

選んだ語りの視点が、文体や言葉選び、読者が知りうる情報の種類をどう形づくるか。

視点の飛び移り(ヘッドホッピング)

一つの場面のなかで、はっきりした切り替えなしに複数の人物の心の中を行き来すること。

持ち込み原稿の山(スラッシュパイル)

出版社や文芸エージェンシーに、依頼なしに送られてきた原稿の集まり。

自費出版(セルフ・パブリッシング)

著者が創作面でも金銭面でもすべての決定権をもったまま、自分の力で本を出版すること。

自由間接話法

かぎかっこや「と彼女は思った」のような示しなしに、人物の思考や話しぶりを三人称の地の文に溶け込ませる技法。

自由詩

規則的な韻律や押韻、決まった連の形式をもたずに書かれる詩。

執筆スプリント

時間を区切って集中して書く執筆の時間。ふつうは15分から60分で、手を止めて直すことなく書き続けることに集中し、やる気を保つために仲間と一緒に行うこともよくあります。

執筆の習慣(ライティング・ルーティン)

決まった時間に書く、あるいは決まった量を書くという、意図して続ける執筆の習慣。創作の規律を育て、勢いを保つためのものです。

弱強五歩格(アイアンビック・ペンタミター)

弱・強の音節の組を一行に五つ並べる韻律。英語の詩と韻文劇で最もよく使われます。

主人公(プロタゴニスト)

その目的と葛藤によって物語を前へ進めていく、物語の中心人物。

主人公補正(プロット・アーマー)

物語の都合でその人物を生かしておく必要があるために与えられる、筋の通らない暗黙の守り。生死や成否が劇的な必然ではなく作者の都合で決まるときに透けて見えます。

首句反復(アナフォラ)

続く節や文の冒頭で、同じ語や言い回しを意図的に繰り返すこと。

修飾過多の美文(パープル・プローズ)

飾り立てすぎて文章そのものが目立ち、わかりやすさや物語が犠牲になっている書き方。

純文学(リテラリー・フィクション)

筋の面白さよりも、人物の掘り下げ、テーマの深み、言葉の技巧を重んじる小説。

初稿

推敲に入る前に、物語を最初から最後まで書きとめるために書く、原稿の最初の完成版。

書簡体小説

手紙、日記、メール、メッセージなどの文書を通じて物語が語られる形式。

章(チャプター)

関連する場面をひとまとめにし、テンポを整え、読む手を休める自然な区切りをつくる、本の大きな区分。

象徴(シンボル)

具体的な物や人物、出来事を使って、文字どおりの意味を超えた抽象的な考えを表すこと。

上昇展開(ライジング・アクション)

きっかけとなる出来事からクライマックスまでのあいだで、緊張を高め、葛藤を深めていく一連の出来事。

場面(シーン)

一つの時間と場所で起こる劇的な行動のまとまり。物語を組み立てる基本の部品です。

場面と章の違い

場面は一つの時間と場所で続く行動のまとまり、章はいくつもの場面を含みうる構成上の区切りです。

信頼できない語り手

語る内容が偏っていたり、不完全だったり、意図的に読者を欺いていたりする語り手。

人工言語(コンラン)

架空の世界のために意図してつくられた言語。名前のつけ方の決まりから、完全な文法体系まで、さまざまな段階があります。

人物の口調(キャラクター・ボイス)

その人物の台詞だとすぐにわかる、独特の話しぶり、語彙、リズム、言葉の癖。

人物の動機

人物の決断や行動を突き動かす、内なる欲求や恐れ、必要としているもの。

推敲(改稿)

初稿のあとに原稿を練り直す作業。構成、人物、テンポ、文章の質、わかりやすさに手を入れます。

世界観づくり(ワールドビルディング)

地理、歴史、文化、ルール、内側の論理まで含めて、架空の世界をつくり上げていく作業。

説明(エクスポジション)

読者が物語の前提を理解できるよう、物語のなかに織り込む背景情報。

説明するな、描写せよ(Show, Don't Tell)

感情や出来事を直接述べるのではなく、行動や細部を通して読者に体験させることを重んじる文章の原則。

説明過多(インフォダンプ)

説明や背景情報を大きな塊のまま差し込み、物語の流れを止めてしまうこと。

創作ワークショップ

書き手が作品を持ち寄り、仲間と講師から手引きのある講評を受ける、体系立った学びの場。

相棒(サイドキック)

主人公に寄り添う忠実な仲間。主人公の資質を引き出し、別の視点を補い、主人公の話し相手になります。

草稿(ドラフト)

最初の手探りの稿から最後の仕上げまで、どの段階であれ一通り書き上がった原稿の一版。

多視点(マルチPOV)

二人以上の人物の視点を交互に切り替えていく物語の構成。

対照法(アンチテーゼ)

対立する考えを同じ文法構造に並べ、互いを突き合わせることで両方をくっきりさせる修辞技法。

第四の壁

演じる側と観客のあいだにある想像上の壁。これを「破る」とは、登場人物が観客に直接語りかけたり、観客の存在に気づいていることを示したりすることです。

第二の主役(デューテラゴニスト)

物語で二番目に重要な人物。主人公の相棒やライバル、対照となる存在であることが多い。

短編小説

英語でおおむね1,000語から10,000語ほどの散文フィクション。一つの効果、一人の人物、一つの出来事に焦点を絞ります。

段落の組み立て

リズム、強調、流れを操るための段落内の文の並べ方。トピック・センテンス、つなぎ、テンポを調整する道具としての段落の長さを含みます。

中編小説(ノヴェラ)

短編小説より長く、長編小説より短い小説。英語ではおおむね1万7500語から4万語ほどです。

注釈付き文献目録

各文献の書誌情報に、その内容の要約と評価を短く添えた文献目録。

長編小説

一冊の本になる長さの散文フィクション。英語ではおおむね4万語以上で、複雑な人物、筋、テーマを展開できるだけの規模をもちます。

直喩(シミリ)

「〜のように」「〜のような」を使って、似ていない二つのものを比べる修辞技法。

提喩(シネクドキ)

部分で全体を、あるいは全体で部分を表す修辞技法。

敵対者(アンタゴニスト)

主人公の行く手を阻む対立勢力。人物のこともあれば、組織や主人公自身の内面の葛藤のこともあります。

頭韻(アリタレーション)

続けて並ぶ語や近くにある語の頭で、同じ子音の音を繰り返すこと。

撞着語法(オクシモロン)

矛盾する二つの言葉を一つの短い言い回しに組み合わせる修辞技法。

独白(ソリロキー)

舞台に一人きりの人物が胸のうちを声に出して語り、内面を観客に明かす、演劇の約束事。

内的独白

人物の胸の内の考えをそのまま文章にしたもの。口には出されない感情を読者に伝えます。

内容紹介・推薦文(ブラーブ)

読者に本を手に取らせるための、短く説得力のある紹介文。多くは裏表紙に載ります。

二行連(カプレット)

互いに韻を踏み、ふつうはひとまとまりの考えを表す、連続した二行の詩句。

二人称の語り

読者に「きみ」「あなた」と呼びかけ、物語のなかの登場人物に据える語りの形式。

能動態と受動態

主語が動作をする文(能動態)と、主語が動作を受ける文(受動態)の区別。

俳句

五・七・五の十七音からなる日本の定型詩。季語と切れ字を特徴とし、自然の情景や一瞬をとらえます。英語圏では三行に分けて書かれるのが一般的です。

迫真性(ヴェリシミリチュード)

架空の世界のなかで、本当らしく、現実らしく、信じられるものに見えること。

発話タグ(ダイアログ・タグ)

「と彼女は言った」「と彼は尋ねた」のように、誰が話しているのかを示す言葉。

挽歌(エレジー)

人や物の喪失を悼み、死すべき運命について思いをめぐらせる、厳粛な思索の詩。

悲劇の主人公(悲劇的英雄)

高い地位にありながら、致命的な欠点や判断の誤りによって破滅し、観客に憐れみと恐れを呼び起こす主人公。

悲劇的欠陥(ハマルティア)

主人公を破滅へ導く、性格に根ざした弱さや判断の誤り。アリストテレスのいう「ハマルティア」に由来します。

比較タイトル(コンプ・タイトル)

原稿の市場での位置づけと想定読者を、エージェントや出版社に伝えるために挙げる、すでに刊行されている類書。

非線形の語り(ノンリニア・ナラティブ)

出来事を時系列どおりではない順序で示す語り方。

不信の自発的停止

現実にはありえない要素や幻想的な要素を、物語のなかではありうることとして進んで受け入れる、読者の心構え。

舞台設定(セッティング)

物語が起こる時代、場所、社会の環境。物語の物理的な背景と文化的な背景を形づくります。

風刺(サタイア)

ユーモアや皮肉、誇張を使って、人間の悪徳や愚かさ、制度の欠陥を批判し、暴き出すこと。

伏線

これから起こる出来事に備えて、物語の早い段階でひそかに仕込んでおく手がかりや暗示。

雰囲気(アトモスフィア)

物語の舞台が放つ、読者を包み込む環境と感覚の質。物理的な細部、世界観づくり、場所のもつ感情の手ざわりを積み重ねることで生まれます。

文に変化をつける

文の長さ、組み立て、種類を混ぜ合わせて、読ませるリズムをつくり、単調さを防ぐこと。

文の組み立て(シンタックス)

文のなかでの言葉の並べ方と構造。リズム、強調、意味を操るための技法として意図的に使われます。

文化の設定(カルチャー・ビルディング)

架空の世界の社会、習慣、宗教、社会の規範、信仰の体系をつくり上げていく作業。

文芸エージェント

著者の代理人として原稿を出版社に売り込み、出版契約を交渉する専門家。

文献レビュー(先行研究の検討)

あるテーマについての既存の研究を調べ、批判的に検討すること。すでにわかっていることと、まだ研究されていない空白を明らかにします。

文章のリズム

文の長さや組み立て、響きに変化をつけることで生まれる、文章の抑揚、テンポ、流れ。

文体の個性(ボイス)

言葉選び、文の組み立て、ページに表れる姿勢を通して伝わる、作者ならではの個性と文体。

並置(ジャクスタポジション)

対照的な二つの要素をあえて隣り合わせに置き、その違いを際立たせること。

変更履歴の記録(トラック・チェンジ)

編集作業での挿入、削除、コメントを記録するデジタルの機能。複数人での共同作業を可能にします。

母音韻(アソナンス)

近くにある語どうしで同じ母音を繰り返し、内側からの響き合いと音楽性を生むこと。

魔法体系(マジックシステム)

架空の世界の超自然的な要素や幻想的な要素を支配する、ルール、制限、内側の論理のまとまり。

無韻詩(ブランク・ヴァース)

押韻のない弱強五歩格で書かれた詩。韻律の規律と、押韻に縛られない自由を兼ね備えています。

余白(ホワイトスペース)

段落の区切り、短い行、場面の区切りによってページ上に意図的に余白をつくり、テンポと強調を操ること。

要旨(アブストラクト)

研究論文の目的・方法・結果・結論を短くまとめた要約。英文では150〜300語程度が一般的です。

類型的人物(ストック・キャラクター)

文化や文学のお約束から、ひと目でそれとわかる型どおりの登場人物。

類比(アナロジー)

異なる二つのものを詳しく比べ、なじみのあるものを手がかりに、なじみのない概念を説明したり明らかにしたりすること。

歴史改変もの(オルタネイト・ヒストリー)

ある歴史上の出来事が実際とは違う結果になった世界を舞台に、その分岐がもたらしたものを描くフィクション。

歴史小説

過去の時代を舞台に、調べ上げた史実の細部と、創作した人物や出来事を織り合わせた小説。

連(スタンザ)

詩のなかでひとまとまりになった行の集まり。空白の行でほかのまとまりと区切られ、韻文の段落として働きます。

論証(アーギュメント)

根拠と論理に支えられた主張。説得的な文章や学術的な文章の背骨となるもの。

枠物語

外側の物語が内側の物語の前提を与える、物語のなかに物語がある構成。

婉曲表現(ユーフェミズム)

きつすぎたり不快だったりする表現の代わりに使う、やわらかく遠回しな言い方。

抒情詩

物語を語るのではなく、個人の感情や思いを、音楽的で歌のような言葉で表す詩。

頌歌(オード)

格調高い文体で厳粛な主題を扱う抒情詩。人や物、抽象的な概念に呼びかけ、それを称えるのが典型です。

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