説明過多(インフォダンプ)
説明や背景情報を大きな塊のまま差し込み、物語の流れを止めてしまうこと。
最終更新説明過多(インフォダンプ)とは、作者が物語を中断して、背景情報や世界設定の細部、技術的な解説をひとかたまりで流し込んでしまう箇所のことです。読者に出来事を体験させるのではなく情報を覚えさせようとするため、物語の勢いが止まってしまいます。会話の途中で始まった講義を、文章でやっているようなものです。
ファンタジーとSFは、特にこの罠に陥りやすいジャンルです。登場人物が立ち止まって、魔法体系の全容や王国の政治史を延々と説明するのは、典型的な説明過多です。トールキンは、付録や物語のなかでの自然な明かし方によって膨大な世界設定を扱いましたが、腕の劣る模倣者たちは、冒頭に何章分もの伝承を詰め込んでしまいがちです。マイケル・クライトンは、説明過多を人物どうしの読ませる会話に見せかける名手でした。
解決策は、情報を削ることではなく、自然なかたちで届けることです。人物が必要としたときに細部を明かし、世界設定を行動や会話のなかに埋め込み、読者が自分で点と点をつなげると信頼しましょう。ヘミングウェイが唱えたとされる「氷山の理論」は、作者はページに書く以上のことをはるかに多く知っているべきだと説いています。葛藤や人物どうしのやりとりを通して明かされる情報は自然に感じられますが、塊で渡される情報は宿題のように感じられます。