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「説明するな、描写せよ」:例と練習問題

最終更新 読了7分

「説明するな、描写せよ」は、もっともよく聞く創作の助言であり、もっとも誤解されている助言でもあります。何ひとつ直接書いてはいけない、という意味ではありません。読者に何かを感じてほしいときは、結論を手渡すのではなく、読者が自分で感じ取れる材料を差し出しなさい、という意味です。

「説明」とは実際どういうものか

説明とは、根拠を示さずに感情や性質、状態に名前を付けてしまうことです。

サラは怒っていた。もともと短気な性格で、今日も例外ではなかった。結婚記念日を忘れたマークに、彼女は激怒していた。

読者は、サラが怒っていると3回も聞かされています。頭では理解できても、感じることはできません。書き手が仕事を全部済ませてしまい、読者が体験する余地を残していないのです。

「描写」とはどういうものか

描写は、感覚に訴える細部や行動、会話を差し出し、読者が自分でその感情にたどり着けるようにします。

サラは皿を並べた。慎重に、きっちりと、一枚ずつランチョンマットの真ん中に。ナプキンをまっすぐに直す。テーブルクロスのしわを伸ばす。四十分遅れて、花も持たず、ジムバッグを肩にかけてマークが帰ってくると、彼女はほほえんで椅子を引き、「今日はどうだった?」と言った。

読者は、押し殺した怒りを感じ取ります。わざとらしいほどの家庭的なふるまい、遅い帰宅、花がないこと、不気味なほど丁寧な出迎え。こうした細部が、「サラは怒っていた」では及ばない、体に響く理解を生みます。水面下で起きていることにも注目してください。読者は張りつめた空気を、これまでのいきさつを、目前に迫った衝突を推し量ります。その推し量る行為こそが、シーンに命を吹き込むのです。

説明を選ぶのが正しいとき

ここからが、たいていの創作アドバイスが触れない部分です。説明は、いつも間違いというわけではありません。次のような場合には、説明こそが正しい道具です。

  • 大事なことが起きない時間を進めるとき。「三週間が過ぎた」で何の問題もありません。21日分を全部描写する必要はないのです。
  • 状況を手早く伝えるとき。「彼は三十年、大工をしてきた」は、さらりと説明して構いません。何ページもの回想で描写すれば、得るものはわずかなのに物語が遅くなります。
  • その感情がシーンの要点ではないとき。脇役が緊張していて、それがプロットにとって重要でないなら、「彼女は緊張しているようだった」とさっと書けば、読者の注意を無駄づかいせずに先へ進めます。

このルールの本質は、配分にあります。物語にとってもっとも大切な瞬間は描写し、それ以外は手際よく説明しましょう。

書き換え前と書き換え後の例

人物の性格

説明:ジェームズは気前がよかった。

描写:ジェームズは20ドル札を大道芸人のケースに押し込むと、襟を立て、礼を言われる前に歩き去った。家賃の支払いは金曜日だった。

説明のほうは、レッテルを貼っているだけです。描写のほうは、行動で性格を証明しています。しかも家賃の細部があることで、その気前のよさに意味が生まれます。彼にとって痛い出費なのです。

雰囲気

説明:その家は気味が悪かった。

描写:手を触れる前に、玄関のドアが内側へ開いた。中に入ると、廊下の壁紙が長い帯になって壁からめくれ、二階のどこかで、そこにあるはずのない重みを受けて床板がきしんだ。

人間関係

説明:二人はもう親しくなかった。

描写:以前は同じタクシーで帰ったものだった。今では、レナがコートを着るあいだデイヴィッドはスマホを見ていて、二人とも顔も上げずに「じゃあ」と言った。

実践練習

以下の練習は、1回15分で取り組めるように作ってあります。タイマーを使いましょう。制約があるほうがはかどります。

練習1:名前を出さずに感情を書く

登場人物が強い感情(悲しみ、嫉妬、高揚、恥)を抱く200語ほど(日本語なら400字程度)のシーンを、その感情の名前を一度も出さずに書いてください。使ってよいのは、体の感覚、行動、会話だけです。書き終えたら、誰かに読んでもらい、どんな感情かを当ててもらいましょう。当たれば、描写がうまく働いています。

練習2:説明した箇所を書き直す

自分の原稿から、描写せずに説明してしまった段落をひとつ探してください。抽象的な文をすべて具体的な細部に置き換えながら、倍の長さに書き直します。それから元の長さまで削りましょう。いちばん力のある細部が、自然に生き残るはずです。

練習3:物の練習

ある部屋を描写して、そこに住む人の人柄を浮かび上がらせてください。本人は登場させません。具体的な物を5つ選び、誰が住んでいるのかが読者に伝わるように描きます。しおりの挟まっていない図書館の本の山。ドアストッパー代わりのマラソン大会のトロフィー。調味料とビールしか入っていない冷蔵庫。

練習4:サブテキストのある会話

二人の人物が、ありふれたこと(どちらが皿洗いの当番か)で言い争っているけれど、本当の対立はもっと大きなこと(一方が別れたがっている)、という会話を書いてください。どちらの人物も、本当の対立に直接触れてはいけません。

確かめるための問い

推敲するときは、感情が動くビートごとに自問しましょう。「自分は感情に名前を付けているのか、それとも読者がそれを感じられる条件を整えているのか」。名前を付けているなら、レッテルの代わりになるものを探します。具体的な体の細部、多くを物語る行動、意味をはらんだ沈黙です。

目標は、文章から説明をすべて消すことではありません。大切な瞬間をひとつ残らず、報告ではなく体験として読者に届けることです。

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