きっかけとなる出来事(インサイティング・インシデント)
主人公の日常の世界をかき乱し、中心となる葛藤を動かしはじめる出来事。
最終更新きっかけとなる出来事とは、主人公のそれまでの日常をひっくり返し、物語の中心となる問いを動かしはじめる、最初の大きな出来事のことです。これがなければ、物語が存在する理由そのものがありません。ふつうは第一幕で起こり、自分の意思であれ、状況に迫られてであれ、主人公に何らかの対応を迫ります。
『ハンガー・ゲーム』では、刈り入れの儀式でプリムの名前が引き当てられることが、きっかけとなる出来事です。それによってカットニスは、妹の代わりに贄(トリビュート)として名乗り出ることになります。『ハリー・ポッターと賢者の石』では、ハグリッドがやって来て、ハリーが魔法使いであることを告げる場面がそれにあたります。どちらの出来事も主人公のふつうの暮らしを打ち砕き、その後の物語の展開を避けられないものにしています。
よくある誤解は、きっかけとなる出来事を、人物の過去(バックストーリー)や状況設定(セットアップ)と取り違えることです。きっかけとなる出来事は、じわじわと続く状態ではありません。切迫感を生む、はっきりと特定できる一つの瞬間です。ある出来事を取り除いても物語が同じように進むなら、それはきっかけとなる出来事ではありません。