長編小説のアウトラインの作り方:完全ガイド
どんな長編も、最初は混沌です。頭の中にはいくつものシーンがあり、登場人物たちは互いに怒鳴り合い、正しいと感じる結末はあるのに、そこへ至るはっきりした道がない。1作目でも10作目でも、小説の書き手が必ず向き合う問いがあります。初稿を書く前に、その混沌をどこまで整理しておくか。そして、物語の命を絞め殺さずに、どう整理するか。
アウトラインの目的は、支配することではありません。自信を持って書けるだけの構成を自分に与えつつ、物語が自分を驚かせる余地を残しておくことです。最良のアウトラインは、融通のきかない設計図ではありません。鉛筆で描いた地図です。同じところをぐるぐる回らずに済む程度には詳しく、道から外れたところに面白いものが見えたら探検できる程度にはゆるやかなものです。
このガイドでは、主なアウトラインの作り方を順に紹介し、どれが自分の考え方に合うかを見極める手助けをし、今日から使える実践的な手順を段階を追って示します。プレミスと主人公がまだ固まっていないなら、先に執筆前チェックリストを確認してください。
そもそも、なぜアウトラインを作るのか
作り方に入る前に、根本的な問いに答えておきましょう。なぜわざわざ作るのか、という問いです。
アウトラインは創造性を殺す、という根強い俗説があります。書く前に結末を知ってしまうと、書くことから勢いが失われると考える書き手もいます。そして一部の書き手にとっては、それは本当です。次に何が起きるかを発見することこそが前へ進む力になっていて、その発見を取り除けば、書く動機まで取り除かれてしまうのです。それが自分に当てはまるなら、どんなアウトラインの作り方も役に立たないでしょう。それでまったく構いません。
けれども、たいていの書き手にとっては逆です。勢いが失われるのは、物語の行き先を知っているからではなく、知らないからです。誰もが恐れる「中だるみ」、つまり3万語あたりで勢いが死に、作品全体が無意味に思えてくる一帯は、ほとんどの場合、計画が足りないことの症状です。物語の始まりは分かっていた。結末もぼんやりとは見えていた。けれども、そのあいだをつなぐ部分を考えておかなかったので、羅針盤もなく物語の荒野で立ち往生しているのです。
アウトラインには、具体的な利点がいくつもあります。
- 構成の問題が早いうちに表に出る。ペース配分の問題は、300ページの原稿より、1ページのアウトラインで直すほうがはるかに簡単です。第二幕で緊張が高まっていかないなら、アウトラインならすぐに分かります。原稿だと、どこにもつながらないシーンを3か月書き続けるまで気づかないかもしれません。
- シーンを順番どおりでなく書ける。物語全体の形が分かっていれば、その日に心が躍るシーンへ自由に飛べます。執筆の時間を、活気があり実りあるものに保てます。
- 初稿が早く仕上がる。アウトラインを作る書き手の多くが、初稿を書く期間がかなり短くなったと言います。シーンを書こうと座ったとき、そのシーンが何を果たすべきかがもう分かっているからです。創造のエネルギーは、次に何が起きるかを考えることではなく、文体の個性、イメージ、会話文といった仕上がりに注がれます。
- 推敲の焦点が絞られる。アウトラインをもとにした初稿は、構成の手直しが少なくて済む傾向があります。そのぶん、文章を本当に輝かせる一文単位の技術に、推敲のエネルギーを注げます。
だからといって、アウトラインを網羅的にする必要はありません。シーンごとに細かく作る書き手もいれば、幕ごとに数文程度の大まかな線だけを引く書き手もいます。どこまで詳しくするかは好みの問題で、正解は、縛られていると感じるほど詳しくはないけれど、前へ書き進められるだけの自信が持てる程度、ということになります。
書き手のスペクトラム:プロッター、パンツァー、プランツァー
書き手のあいだでは、計画へのさまざまな取り組み方を表す呼び名ができています。プロットを先に組むタイプ(プロッター)は、初稿の前にしっかりとアウトラインを作ります。書きながら見つけるタイプ(パンツァー)は、英語の「勘で操縦する(by the seat of their pants)」から来た呼び名で、書きながら物語を発見していきます。その中間のタイプ(プランツァー)は、一部の要素を計画し、ほかの要素は発見していきます。
大切なのは、このスペクトラムのどこに位置するかではなく、自分が本当に何を必要としているかに正直になることです。パンツァーを自称する書き手の多くは、実は頭の中でアウトラインを作っているプランツァーです。長年の読書と執筆から構成への強い直感を身につけていて、ほかの書き手が紙の上で整理することを、無意識のうちに整理しているのです。一方、プロッターを自称する書き手のなかには、実はアウトラインを初稿として使い、創造的な発見の作業を、初稿の段階ではなくアウトラインの段階でしている人もいます。
以下の作り方は、おおよそ構成がしっかりしたものから、ゆるやかなものへと並べてあります。気になったものを試してみましょう。ただし、合わなければ自分なりに変えてもいいし、やめてもいいのです。
作り方1:スノーフレーク法
ランディ・インガーマンソンが考案したスノーフレーク法は、少しずつ広げていくことで長編のアウトラインを組み立てます。一文から始め、段階を追ってシーンごとの完全な計画へと広げていくのです。この名前はフラクタル幾何学に由来します。雪の結晶が単純な三角形から始まり、同じ展開を繰り返して複雑な形へと育つように、アウトラインも種から詳細な構造へと育っていきます。
手順は次のとおりです。
- 一文の要約。長編全体を、英語で15語以内(日本語なら30字ほど)の一文に凝縮します。見た目より難しく、そこが肝心です。物語の核を見極めざるをえなくなるからです。例:「名誉を失った外科医が、汚名をそそぐために大統領の命を救わなければならない」。人物の名前もサブプロットも入れず、劇的状況の本質だけを書きます。
- 一段落への展開。その一文を、5文ほどの段落に広げます。1文目で状況設定を、続く3文で物語の大きな転換点や災難を、最後の1文で結末を書きます。この段落が、物語の骨格になります。
- 人物の要約。主要人物ごとに、1ページの要約を書きます。名前、その人物の筋書きの一文要約、動機(抽象的に望むもの)、目的(具体的に望むもの)、葛藤(それを阻むもの)、気づき(何を学ぶか)、そしてアークの一段落要約です。
- 段落から1ページへ。一段落の要約の各文を、それぞれ一段落に広げます。これで、1ページほどのシノプシスができます。
- 人物ごとのシノプシス。主要人物それぞれの視点から、1ページのシノプシスを書きます。サブプロットの可能性が見えてきて、どの人物にも自分の物語があることを確かめられます。
- 4ページのシノプシス。1ページのシノプシスを4ページに広げます。おおよそ、1幕(または物語の4分の1)につき1ページです。
- 人物の設定表。過去の経緯、外見、性格、人間関係を含む、完全な人物のプロフィールを作ります。
- シーン一覧。スプレッドシートなどを使い、長編のすべてのシーンを書き出します。各行には、そのシーンの視点人物、何が起きるか、何ページほどになりそうかを入れます。
スノーフレーク法は、分析的に考え、少しずつ複雑さを積み上げるのが好きな書き手に向いています。最大の長所は、細部に迷い込む前に全体像を固めざるをえないことです。最大の短所は、機械的に感じられることがある点です。手順8にたどり着くころには計画に時間をかけすぎて、創作への切迫感が消えてしまったという書き手もいます。
作り方2:SAVE THE CATのビートシート
ブレイク・スナイダーの『SAVE THE CATの法則』はもともと脚本家向けに書かれたものですが、ジェシカ・ブロディが『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』で小説の書き手向けに翻案しました。この方法では、15の具体的な「ビート」を定めます。物語の中の、ほぼ決まった位置で起きる出来事です。ビートにはそれぞれ名前と目的があり、原稿の中のおおよその位置が決まっています。
小説向けに翻案されたビートは次のとおりです。
- オープニング・イメージ(0〜1%):物語が変えてしまう前の、主人公の世界のスナップショット。
- テーマの提示(5%):誰かが物語のテーマを口にします。たいていは主人公に向けて言われますが、主人公はまだそれを理解していません。
- セットアップ(1〜10%):主人公の暮らし、欠点、直すべきことを示します。
- きっかけ(10%):きっかけとなる出来事(インサイティング・インシデント)。物語を動かし始める出来事です。
- 悩みのとき(10〜20%):主人公はためらい、抵抗し、新しい状況に関わるべきかどうか迷います。
- 第一ターニング・ポイント(20%):主人公が自ら選んで、第二幕の新しい世界に足を踏み入れます。
- サブプロット(22%):二つ目の筋(Bストーリー)が始まります。テーマを運ぶ人間関係であることが多いものです。
- お楽しみ(20〜50%):「プレミスの約束」が果たされ、読者は求めていたものを手にします。ミステリーなら探偵が捜査し、ロマンスなら二人が恋に落ちます。
- ミッドポイント(50%):大きな転換。偽りの勝利(うまくいっているように見える)か、偽りの敗北(望みがないように見える)のどちらかです。ステークスが上がります。
- 迫り来る悪い奴ら(50〜75%):外からの圧力が強まり、内面の欠点が深刻になります。事態は悪くなっていきます。
- すべてを失って(75%):どん底。何か大切なものが失われます。師が死ぬ、関係が壊れる、計画が完全に失敗する。
- 心の暗闇(75〜80%):「すべてを失って」の瞬間がもたらす感情の余波。主人公は悲しみと失敗を受け止めます。
- 第二ターニング・ポイント(80%):主人公が解決策を見つけます。多くの場合、AストーリーとBストーリーの教訓を統合することで見つけます。
- フィナーレ(80〜99%):主人公は計画を実行し、敵対者と対決し、中心の葛藤に決着をつけます。
- ファイナル・イメージ(99〜100%):主人公の新しい世界のスナップショット。オープニング・イメージと対になり、何が変わったかを見せます。
SAVE THE CATは、名前の付いた目印のある、はっきりした道筋を求める書き手に向いています。ビートは狙うべき具体的な目標を与えてくれ、パーセンテージの目安はペース配分の感覚を与えてくれます。限界は、ビートが規範のように感じられることがある点です。すべての物語が15の箱にきれいに収まるわけではなく、無理に押し込めば型どおりの結果になりかねません。ビートは手かせではなく、道しるべとして使いましょう。
作り方3:三幕構成
三幕構成は、もっとも古く、もっとも柔軟なアウトラインの枠組みです。前提は単純です。どの物語にも始まり(第一幕)、中盤(第二幕)、終わり(第三幕)がある。割合はおおよそ25%、50%、25%です。
その枠組みの中で、次のように進みます。
- 第一幕(状況設定):主人公、その世界、中心となる葛藤を紹介します。物語を第二幕へ押し出す転換点で終わります。
- 第二幕(対立):主人公は目的を追い、次々と大きくなる障害にぶつかります。ミッドポイントでステークスが上がります。幕は、主人公を第三幕へ追い込む大きな危機で終わります。
- 第三幕(解決):中心の葛藤に決着がつくクライマックス。そのあとに、新しい日常を見せる短い結び(デヌーマン)が続きます。
三幕構成の長所は単純さです。具体的な中身を指図することなく、考えを整理するのにちょうど足りるだけの足場を与えてくれます。短所は、「第二幕」が長編の半分を占めるのに、「次々と大きくなる障害」という説明では、その150ページで実際に何が起きるのかがほとんど分からないことです。三幕構成を使う書き手の多くは、第二幕を(ミッドポイントを境に)前半と後半に分け、実質的に四部構成にしています。
アウトラインに使うなら、三幕構成は次の問いに答えるときにいちばん力を発揮します。
- 始まりの時点での日常はどんな状態か。
- どんな出来事がその日常を壊すのか(第一幕の転換点)。
- 主人公は何を望み、何がそれを阻んでいるのか。
- ミッドポイントで何が変わり、ステークスが上がるのか。
- 第二幕の終わりのどんな危機が、最後の対決へと追い込むのか。
- クライマックスは、中心の葛藤にどう決着をつけるのか。
- 新しい日常はどんな姿をしているのか。
作り方4:英雄の旅(ヒーローズ・ジャーニー)
ジョーゼフ・キャンベルの単一神話を、クリストファー・ボグラーが『神話の法則』で翻案したもので、主人公がたどる12段階の道筋を描きます。ファンタジー、冒険もの、成長物語に特に向いていますが、その根にあるパターンは、ほぼあらゆるジャンルに見られます。
段階は次のとおりです。
- 日常の世界:冒険が始まる前の、主人公のふだんの暮らし。
- 冒険への誘い:主人公を未知の世界へ誘う出来事や知らせ。
- 冒険の拒否:主人公はためらうか、拒みます。慣れ親しんだものを離れることの重さが示されます。
- 賢者との出会い:導き手が、助言や訓練、決定的な道具を与えます。
- 第一関門突破:主人公は冒険に身を投じ、特別な世界に足を踏み入れます。
- 試練、仲間、敵対者:主人公は新しい世界に試され、思いがけない仲間を得て、誰が自分に立ちはだかるのかを知ります。
- 最も危険な場所への接近:中心となる試練への準備。
- 最大の試練:主人公は最大の難題に立ち向かいます。死と再生の瞬間です。
- 報酬:主人公は求めていたものを手にします。
- 帰路:家路につきますが、たいていは新たな問題が持ち上がります。
- 復活:主人公の変化を証明する、最後の試練。
- 宝を持っての帰還:主人公は変わった姿で、価値あるものを携えて、日常の世界へ戻ります。
英雄の旅は想像力をかき立て、神話的な響きを持っていますが、もともとアウトラインの道具として作られたものではありません。キャンベルは既存の神話に見いだしたパターンを記述したのであって、ひな形を処方したのではないのです。段階を追ったレシピとしてではなく、物語の形を理解するためのレンズとして使いましょう。
作り方5:テントの支柱式(最小限のアウトライン)
ある程度の構成は欲しいけれど、多すぎるのは困るという書き手には、テントの支柱式が便利な折衷案です。物語の中でもっとも重要な5〜8のシーン、つまり物語を支える支柱を見極め、それだけをアウトラインにします。支柱と支柱のあいだはすべて、初稿を書きながら発見していきます。
典型的な支柱は次のとおりです。
- 冒頭のシーン
- きっかけとなる出来事
- 最初の大きな転換点
- ミッドポイント
- 大きな危機
- クライマックス
- 最後のシーン
支柱ごとに、何が起き、誰が関わり、何が変わるかを一段落で書きましょう。それがアウトラインです。次にどこへ向かうかはいつも分かっていますが、そこへどう行くかには創作の自由があります。
この方法は、プランツァーや、計画しすぎると書く気が失せてしまう書き手に向いています。物語の構成が身についていて、すき間を直感で埋められる経験豊富な書き手にも向いています。
作り方の選び方
誰にとっても最良のアウトラインの作り方というものはありません。正しい作り方は、どう考えるか、どのジャンルを書いているか、書き手としてどの段階にいるかによって変わります。率直な目安をいくつか挙げます。
- 初めての長編を書いているなら、SAVE THE CATか三幕構成を試しましょう。どちらも十分に具体的なので、3万語あたりで必ず行き詰まったときに、本当に役立つ道しるべになります。
- ミステリーやスリラーを書いているなら、ほぼ間違いなく詳細なアウトラインが必要です。こうしたジャンルは、手がかりの配置、偽の手がかり(レッドへリング)、最大の効果を狙ってタイミングを計った真相の暴露といった、緻密なプロットづくりに頼っているからです。ここではスノーフレーク法がよく機能します。
- 純文学を書いているなら、三幕構成かテントの支柱式で十分かもしれません。純文学はプロットのしかけより人物と文体の個性にかかっていることが多く、アウトラインを作り込みすぎると、作品を生かしている手探りの質が平板になりかねません。
- ファンタジーやSFを書いているなら、おそらくプロットのアウトラインと世界観の設定メモを組み合わせる必要があるでしょう。英雄の旅は、壮大なハイ・ファンタジーに自然に合います。ほかのサブジャンルなら、世界のルールも管理している限り、どの作り方でも機能します。
- 以前アウトラインを試して嫌になったなら、テントの支柱式を試してみましょう。嫌いなのはアウトラインそのものではなく、作り込みすぎることなのかもしれません。
ステップごとに:アウトラインを組み立てる
どの作り方を選ぶにせよ、「長編の着想がある」から「使えるアウトラインがある」までたどり着くための、実践的な手順を紹介します。
ステップ1:核となる一文を書く
長編を一文で要約しましょう。キャッチコピーや売り込み文句ではなく、構成の要約です。主人公、その目的、中心の葛藤を入れます。「補給船が乗っ取られ、引退した宇宙飛行士が娘の暮らす植民地を救うために宇宙へ戻らなければならなくなる」。この一文が書けないなら、まだアウトラインを作る準備ができていません。先にもっとブレインストーミングが必要です。
ステップ2:結末を見極める
自分がどこへ向かっているのかを知っておく必要があります。結末は詳しくなくて構いません。最後の一文やクライマックスの正確な流れまで知る必要はありません。けれども、結果は知っておく必要があります。主人公は目的を果たすのか。どんな代償を払って。何が変わったのか。初稿の前に結末を決めるのを嫌がる書き手は、6万語あたりで、満足のいく結末のない物語を書いてきたことに気づくことがよくあります。今のうちに結末を決めておけば、その罠を避けられます。
ステップ3:大きな転換点を書き出す
どの長編にも、物語の向きが根本から変わる瞬間が3〜5つあります。その瞬間を見極めましょう。少なくとも次のものが必要です。
- きっかけとなる出来事(物語を始める出来事)
- ミッドポイント(形勢を変える出来事)
- 危機(クライマックスの前の、いちばん暗い瞬間)
- クライマックス(最後の対決、または決断)
それぞれについて、1、2文書きましょう。何が起きるのか。誰が関わるのか。その結果、何が変わるのか。
ステップ4:キャラクターアークを素描する
主要人物ごとに、3つの問いに答えましょう。何を望んでいるのか。何を必要としているのか。その2つはどうぶつかるのか。それから、人物のアークがプロットの転換点とどこで交わるのかを考えます。ミッドポイントは、主人公の内面のアークにとっても転換点になっているでしょうか。そうなっているべきです。
ステップ5:すき間を埋める
さあ、ここで初めて、転換点と転換点のあいだを埋めていきます。作り方によって分かれるのはここです。SAVE THE CATなら、残りのビートを埋めていきます。スノーフレーク法なら、シノプシスを広げていきます。テントの支柱式なら、ここで止めてもいいでしょう。支柱はそろい、初稿に取りかかる準備ができています。
転換点のあいだの各部分について、問いかけましょう。次の転換点がうまく決まるには、何が起きなければならないか。どのシーンが、その転換点を信じられるものにする情報、人間関係、感情の状態を築くのか。
ステップ6:アウトラインに負荷をかけて試す
アウトラインを最初から最後まで読み通し、次のように問いかけましょう。
- 物語は高まっていくか。どの幕も、前の幕よりステークスが高くなっているべきです。
- 主人公が物語を動かしているか。選択するより出来事に反応してばかりなら、アウトラインには受け身の問題があります。
- ミッドポイントは本当に意外で、何かを明かすものになっているか。弱いミッドポイントは中だるみを生みます。
- 結末は、冒頭で示した中心の問いに答えているか。
- 何も変わらない部分はないか。そういう部分こそ、初稿を書くときに行き詰まる部分です。
アウトラインでよくある失敗
長年、自分の長編のアウトラインを作り、ほかの書き手のアウトラインづくりを手伝ってきて、同じ失敗を何度も見てきました。気をつけたいものを挙げます。
因果のない出来事を並べる
いちばんよくある失敗は、「だから」や「しかし」ではなく、「そして」でつながった出来事の一覧を作ってしまうことです。アウトラインを「これが起きて、そしてこれが起きて、そしてこれが起きる」と説明できるなら、それは出来事の並びであって、プロットではありません。アウトラインの中のどの出来事も、前の出来事によって引き起こされるか、あとの出来事を引き起こすべきです。理想は「これが起きる、だからあれが起きる、しかしそこで新たな問題が持ち上がる」です。初稿が書き上がったら、長編のプロットづくりのガイドで、因果がどこで途切れているかを正確に見つけるための、シーンごとの点検方法を紹介しています。
主人公の主体性を無視する
弱いアウトラインでは、出来事が主人公の身に降りかかります。強いアウトラインでは、主人公が選択をし、その選択が結果を生みます。アウトラインのすべての部分を確かめましょう。主人公は決断を下しているでしょうか、それともプロットに押し流されているでしょうか。戦争小説や災害ものなど、外からの力が支配する物語でも、主人公は、どう応じるかについて意味のある選択をしているべきです。
前半だけを作り込む
多くの書き手が、長編の最初の3分の1については詳細なアウトラインを作り、最後の3分の1については「そして悪役を倒す」とだけ書いてしまいます。これでは、強い冒頭、迷走する中盤、駆け足の結末が出来上がります。3つの幕すべてに同じだけのエネルギーを注ぎましょう。いや、第二幕にはむしろ余分に注ぎましょう。物語が死にに行くのは、そこだからです。
アウトラインを固めすぎる
アウトラインは計画であって、契約ではありません。初稿を書いているうちにもっといいものを見つけたら、たとえば物語を思いがけない方向へ連れていく人物や、計画していたものより面白い葛藤を明かすシーンが現れたら、それについていきましょう。新しい方向に合わせてアウトラインを更新し、書き続けます。行き詰まるのは、物語がそう告げているのに、アウトラインから外れるのを拒む書き手です。
アウトラインと文章を混同する
アウトラインは、初稿の縮小版ではありません。構成のための文書です。略記で書きましょう。言い切らない断片でも構いません。文体の個性や文章のスタイルは気にしなくて大丈夫です。目的は、どう読めるかではなく、何がなぜ起きるかを書き留めることです。アウトラインを美しい文章で書いてしまう書き手は、原稿にたどり着く前に創造のエネルギーを使い果たしてしまうことがよくあります。
アウトラインのあと:次にすること
アウトラインができました。では、次は?
寝かせましょう。初稿に取りかかる前に、少なくとも数日、できれば1週間置きます。新鮮な目でアウトラインに戻ってくると、計画に没頭していたときには見えなかった穴やペース配分の問題、欠けているつながりに気づくはずです。
それから初稿に取りかかりましょう。そして初稿がアウトラインから外れていったら(必ずそうなります)、そのままにしておきましょう。アウトラインは役目を果たしました。助走と、進む方向の感覚を与えてくれたのです。初稿から生まれてくる物語はアウトラインより雑然としているでしょうが、それは問題ではありません。それこそが狙いです。アウトラインは自信を与えてくれました。初稿は、長編を与えてくれます。
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