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ログラインの書き方:実践ガイド

最終更新 読了9分

2019年の春、ある夕食会で、初対面の男性に小説の内容を尋ねられ、私は4分間しゃべり続けました。舞台設定、亡くなった姉、灯台、二つの時間軸、そして二つ目の時間軸がなぜ大切なのかという長い脱線まで。彼は最後までうなずいて聞いてくれました。それから言ったのです。「つまり、ミステリーですか?」違います、と私は答えました。「ラブストーリー?」そういうわけでもなくて。彼は飲み物のおかわりを取りに行き、私は自分でも説明できない一冊を抱えたまま、その場に立ち尽くしていました。

ログラインが解決するのは、まさにこの問題です。しかも、書き手が思うよりずっと小さな問題です。ログラインは宣伝文句ではありません。物語で何が起きるのか、それは誰に起きるのか、その人は何を失うのか。それを自分が分かっているかどうかを確かめるテストです。この3つを収めた一文が書ければ、物語には背骨があります。書けないなら、その一文が語っているのは文章力のことではなく、原稿のことです。

このガイドでは、長編小説、脚本、回想録、シリーズものに向けてその一文を書く方法と、どうしても出てこないときの対処を紹介します。

ログラインとは何か、何ではないか

ログラインとは、主人公、その人の暮らしを乱す出来事、それに対して主人公が何をしようとするのか、そして行く手に何が立ちはだかるのかを示す一文です。長さはふつう英語で25〜50語、日本語なら80〜120字ほどが目安です。この言葉は映画界に由来するとされ、もとはスタジオの制作記録に書かれた、作品を要約する一行のことでした。エージェントや編集者が求めるようになったことから小説家も使い始め、媒体を問わず役に立つ訓練だということも広まりました。

近くにあるものと混同しやすいので、違いを整理しておきましょう。シノプシスは、結末も含めて物語の全体を1〜2ページで語ります。裏表紙の紹介文は、気をもたせ、肝心なところを伏せます。キャッチコピーは標語です。「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」のように。ログラインはその中間にあります。紹介文のように物語の形を隠すことはしませんし、シノプシスのように筋を順にたどることもしません。物語を動かすエンジンを言い切るのです。

ログラインの多くは結末を含みません。答えではなく、問いを約束します。これは決まりではなく慣習で、おもに映画の売り込みで重んじられます。クエリーレターでは、ログラインはもっと長い論旨の中の一文になります。置き場所についてはクエリーレターの書き方をご覧ください。

使えるログラインに欠かせない4つの要素

100本のログラインから飾りをはぎ取ると、いつも同じ4つの部品が残ります。

  1. 役割で示した主人公。「エレナ」ではなく「眠れなくなった外傷外科医」。形容は一つか二つにとどめ、物語がまさにその性質に圧力をかけるものを選びます。
  2. きっかけとなる出来事。それまでの暮らしを終わらせる出来事です。映像にできるものでなければなりません。手紙が届く、遺体が見つかる、夫が帰ってこない、といった具合に。
  3. 目的。主人公が自分から動いて成し遂げようとすること。「妹を見つける」は目的です。「喪失と折り合いをつける」はテーマであり、テーマは失敗しようがありません。
  4. 代償を伴う対立。行く手を阻むものと、主人公が負けたときに起きること。書き手が真っ先に落とすのがここですが、一文を前提ではなく物語として読ませるのは、この部分です。

誰もが知っている映画を例に、スタジオの宣伝文ではなく自分の言葉で書いてみましょう。夏の観光客で食べている島の町の警察署長が、休日の週末までに一頭のホホジロザメを仕留めなければならない。ところが市長は、海水浴場を閉鎖しようとしない。役割で示した主人公、出来事、目的、対立、代償。それが一文に収まっています。サメの名前も署長の過去も要りませんし、なくても困りません。

皮肉、絵になる情景、そしてブレイク・スナイダーが今も大切な理由

ブレイク・スナイダーはSave the Cat!(2005年)で、ログラインに4つの要素以上のものを求めました。一つは皮肉です。聞き手が思わず身を乗り出すような、矛盾を最初から抱えた状況のこと。もう一つは、一行で映画が目に浮かぶような、心に残る情景。さらに、誰に向けた作品で、規模がどれくらいなのかが伝わる、観客と代償の感覚。そして、それだけで半分の仕事をしてくれる秀逸なタイトルです。

私は、この皮肉の条件こそ、印刷された中でもっとも優れたログラインの助言であり、もっとも守られていない助言だと思っています。同じ架空の小説を描いた二つの文を比べてみましょう。一つ目は「夫を亡くした悲しみの中で、未亡人が生きる意味を探す」。どこも間違っていません。けれど、何も入っていません。二つ目は「30年間、夫のアリバイになってきた女が、葬儀の席で、自分が何をかばってきたのかを知る」。こちらには矛盾が織り込まれていて、その矛盾がそのままプロットです。

ジェシカ・ブロディはSave the Cat! Writes a Novel(2018年)で、スナイダーの手法を小説に持ち込みました。そこでは、アウトラインを組む前にまず作るのがログラインです。体系のすべてを受け入れなくても、この順序は取り入れられます。物語がまだ安く変えられるうちに、まず一文を書くのです。

出発点になる型と、それが通用しない場面

紙の上に何もないときは、次の型が議論のたたき台になります。

[きっかけとなる出来事]が起きたとき、[役割で示した主人公]は、[対立/代償]が訪れる前に[目的]を果たさなければならない。

ミステリーに当てはめると、こうなります。「葬儀から2週間後、兄の遺灰が郵便で届いたとき、外傷外科医は、病院の理事会に職を奪われる前に、誰が受け取りに署名したのかを突き止めなければならない」。日本語で約90字。すでに、つついて確かめられるプロットがあります。

この型は、単一の外的な探求を軸にしない物語には合いません。ある結婚を描く純文学、連作短編集、エッセイの形をとった回想録。どれにも「〜が訪れる前に〜しなければならない」はありません。そうした作品では、目的の代わりに圧力を据えましょう。持ちこたえられそうにない状況は何か。「両親が農場を手放すと決めたその夏、郡の外へ出たことのない14歳の少女は、これから失うものを残らず帳簿につけ始める」。これも立派なログラインです。人物、乱れ、行動、代償がそろっています。ただ、カウントダウンで動いていないだけです。

ログラインがつまずく5つのパターン

役割で描かず、名前を出してしまう

読者は、あなたのエレナにまだ会ったことがありません。「エレナ」は読者に読む手間をかけさせるだけで、何も渡しません。役割なら、届いた瞬間に意味を運びます。

プロットの転換を三つ並べて、前提と呼んでしまう

「刑事は遺体を見つけ、次に秘密を見つけ、さらに陰謀を見つける」。これは、人物のいない、エスカレーションの一覧です。すべてを始める出来事を一つ選び、残りは待たせましょう。

具体的なものがあるべき場所に、抽象語を置く

「過去と向き合う」と「すべてがかかっている」は、いちばんよくある失敗です。どちらも同じ理由で効きません。思い浮かべられないのです。抽象語は、物に置き換えましょう。どの過去でしょうか。手紙、借金、賃貸契約書の名前でしょうか。

50語を超えて、読点で長さをごまかす

ステークスを抱えるのに三つの節と一つのセミコロンが要る文は、二つの文が変装したものです。ブレーズ・パスカルは1650年代の『プロヴァンシアル』(Provincial Letters)で、手紙が長くなったことを、短く書く時間がなかったからだと詫びました。ログラインは、その短いほうの手紙です。時間は、削ることにかけます。

代償がない

失敗しても主人公が何も失わないなら、読者には成功を願う理由がありません。何が失われるのかを書きましょう。しかも、この人にとってだけ意味のあるものを。

6つのステップで自分のログラインを書く

  1. 物語を3つの文で書き出す。始まり、中盤、終わり。不格好でかまいません。これは自分のためのもので、ログラインではありません。
  2. きっかけの出来事に丸をつける。それを取り除くと物語が成り立たなくなる、唯一の出来事です。主語と述語のある節として書きます。
  3. 主人公を役割で名づける。形容は二つまで。選べないなら、人物の輪郭がまだ足りないのかもしれません。それが分かるだけでも収穫です。
  4. 目的を、見て分かる動詞で書く。救う、暴く、勝つ、見つける、止める、盗む。「気づく」ではありません。
  5. 代償を足す。「さもなければ」で文を締めましょう。その「さもなければ」を、見知らぬ人が思わずひるむものにします。
  6. 80字ほどまで削り、声に出して読む。息が続かなければ、もう一度削ります。つかえる言葉があれば、取り替えます。

一つではなく、五つの版を書きましょう。版ごとに物語の違う部分が前に出ます。そして、少し居心地が悪くなる版が正解であることは珍しくありません。何かに踏み込んでいるからです。

ゼロから組み立てた3つのログライン

以下は説明のために創作したもので、実在の本として調べられるものはありません。

犯罪小説。「引退した法廷速記官は、1994年に自分が打った記録から11分間が抜け落ちていることに気づく。カットを命じた裁判官が埋葬される前に、その11分を覚えているただ一人の証人を探し出さなければならない」。役割で示した主人公、具体的な出来事、能動的な目的、立ちはだかる時間。

ファンタジー。「あらゆる負債を寿命で払う都市で、母の遺した帳簿を相続したばかりの帳簿係は、自分に負債があることも知らない娘に債権者が取り立てに来る前に、その帳簿を清算しなければならない」。皮肉は、通貨の単位に宿っています。

回想録。「国境の検問所で15年間、他人の手紙を訳し続けた女は、父宛てのただ一通を開封し、それを届けるかどうかを決めなければならなくなる」。カウントダウンはありませんが、決断と、人と、代償があります。

もう一度読んで、気づいてみてください。どれにも、人物の名前も、結末も、テーマもありません。どれも、圧力のかかった状況です。コツはそれだけです。

信じる前に、その一文を試す

自分の頭の中で気に入っているだけのログラインは、まだログラインではありません。本を読んでいない3人に試してみましょう。口に出して、一つだけ尋ねます。「このあと何が起きると思う?」答えが三人三様でばらばらなら、その一文はあいまいです。全員が型どおりの展開を言うなら、ありきたりです。三人のうち二人が実際のプロットに近いことを言い、残る一人がいい質問をしてくれたなら、できあがりです。

もう一つ、自分だけのテストをしましょう。アウトラインを開き、きっかけの出来事が起きる場面を探します。ログラインの言うとおりの位置にあるでしょうか。そして最終幕は、一文に書いた代償を回収しているでしょうか。答えがノーなら、ログラインが間違っているのではありません。本が前提からそれたのなら直せますし、そもそも前提が本の中心ではなかったのなら、今のうちに分かるほうがずっといいのです。このログラインの訓練は、脚本の書き方にもそのままつながります。脚本では、1ページも書かないうちにこの一文が先にできることがよくあります。

一つの文を、あらゆる場面で使う

ログラインが機能し始めたら、4つの仕事で力を発揮します。クエリーレターの中の一行。誰かに聞かれたときに最初に口にする言葉。アウトラインの見出し。そして、新しいサブプロットが出てくるたびにかざすフィルターです。このシーンは、この一文の役に立っているか。立っていなくても本に残してよいのですが、それには理由があるべきです。

要素ごとにヒントのついた穴埋め形式がほしければ、ログラインのテンプレートが一つずつ順に案内します。

私も、あの夕食会の数週間後に自分のログラインを書きました。思っていたより11語短く、望んでいたより代償が一つ多くなりました。次に誰かに本の内容を聞かれたとき、私はひと息で言えました。ミステリーかどうかを相手が推し量る必要は、もうありませんでした。

ログラインは、いつも目に入る場所に。Plotiarのプロジェクトの先頭にピン留めして、アウトラインやメモと並べておけば、どのシーンもその一文を物差しにして測れます。無料で試す。

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