ダイナミック・キャラクター(変化する人物)
物語の出来事を通じて、内面が大きく変化する人物。
最終更新ダイナミック・キャラクターとは、物語の進行のなかで意味のある変化を遂げる人物です。変化するのは信念かもしれませんし、性格や人間関係、世界の見方かもしれません。よく「ラウンド・キャラクター(立体的な人物)」と混同されますが、両者が表すものは別です。ラウンドは人物が複雑であることを、ダイナミックは人物が変化することを指します。立体的でありながら変化しない人物もいれば、単純でありながら変化する人物もいます。
『君のためなら千回でも』のアミールは、罪悪感にさいなまれる臆病者から、償いのために命を懸けられる人間へと変わっていくダイナミック・キャラクターです。『クリスマス・キャロル』のスクルージは最も有名なダイナミック・キャラクターですが、人物としては比較的単純です。彼の本質だったけちが、気前のよさに置き換わる。その変化は劇的で、はっきりしています。
人物の変化を設計するには、まず「望み(ウォント)と必要(ニード)」の枠組みから始めましょう。人物が自覚して追い求めているものと、成長のために本当に必要としているものを見きわめ、物語の出来事がその隔たりをどう埋めていくかを描き出します。実践的な練習として、物語の始まりと終わりで人物が世界をどう見ているかを短い段落二つにまとめ、そこから逆算して、一方の見方をもう一方へと変える転換点を三つから五つ探してみてください。どの転換点も、気まぐれな心変わりではなく、追いつめられた末の本物の反応に見えなければなりません。変化を唐突ではなく段階的に感じさせるには、大きな転換点のあいだに小さな行動の変化を重ねていきます。最後には人を信じることを学ぶ人物なら、はじめはしぶしぶ助けを受け入れ、次に用心しながらも打ち明け話をし、やがて以前は遠ざけていた相手をかばう。そうすれば、心から人を信じるクライマックスの瞬間が、目に見える過程の自然な到達点として感じられます。