用語集

類型的人物(ストック・キャラクター)

文化や文学のお約束から、ひと目でそれとわかる型どおりの登場人物。

最終更新

類型的人物(ストック・キャラクター)とは、さまざまな物語やジャンル、文化的伝統のなかで繰り返し使われてきたために、受け手がすぐにそれとわかる、おなじみの型にはまった人物です。類型的人物を決めるのは、個人の心理ではなく、物語のなかで果たす役割です。賢い老師、ファム・ファタール(運命の女)、マッドサイエンティスト、囚われの姫君、へまばかりする相棒、ハードボイルドの探偵などがそうです。受け手の期待をあらかじめ背負って登場するので、書き手は細かな人物描写をしなくても、すばやく役割を示すことができます。類型的人物は物語の最も古い形から存在しており、コンメディア・デッラルテのアルレッキーノやパンタローネから、おとぎ話や西部劇、ロマンティック・コメディに登場するおなじみの人物たちまで続いています。

類型的人物が物語のいたるところに登場するのは、それが機能するからです。『スター・ウォーズ』のオビ=ワン・ケノービは、最初はひと目でわかる典型的な師として登場し、物語がその人物を掘り下げる前に、観客にその役割をすぐにつかませます。アルフレッド・ヒッチコックの映画には、氷のように冷たいブロンド美女、無実の罪を着せられた男、支配的な母親といった類型が数多く登場しますが、あまりに的確に使われているため、もとの型を超えた存在になっています。ジャンル小説では、歴戦の古参兵、けなげな孤児、腐敗した役人といった類型的人物が、物語を手短に進めるための記号として働き、書き手は本当に掘り下げるべき人物に力を注げます。

類型的人物と元型(アーキタイプ)の違いは押さえておく価値があります。ユングのいう元型は、集合的無意識に根ざした深い心理的なパターンを表します。一方、類型的人物は、ジャンルや文化の伝統に根ざした表面的なお約束です。同じように、類型的人物は平面的人物とも違います。平面的人物は、物語上の役割と描かれる面の少なさで決まり、類型的人物は、見覚えがあることとお約束であることで決まります。類型的人物の危険は陳腐になることで、可能性は型を崩せることです。類型的人物の最も記憶に残る使い方は、型にとことん徹して楽しませるか、意図的に期待を裏切って驚きを生むかのどちらかです。類型的人物を使うときは意図をもちましょう。受け手が何を期待しているかを知ったうえで、その期待に応えるのか、ひっくり返すのかを決めるのです。

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