用語集

ライン編集(文章レベルの推敲)

わかりやすさ、リズム、言葉選び、文体に焦点を当てた、一文単位の推敲。原稿整理(コピーエディット)とも構成面の編集とも異なります。

最終更新

ライン編集とは、文と段落の単位で文章に手を入れる作業で、わかりやすさ、リズム、言葉選び、語調、文体全体に焦点を当てます。編集の工程のなかで、ライン編集は独自の位置を占めています。構成面の編集(ディベロップメンタル・エディット)は原稿の骨組み(プロット、構成、キャラクターアーク)を扱い、ライン編集は文章そのものの質を扱い、原稿整理(コピーエディット)は文法、誤字、句読点、表記の統一といった機械的な正確さを扱います。ライン編集は、よい文章を読ませる文章に変える工程です。そつのない文が歌い出すような文に生まれ変わり、余計なものがそぎ落とされ、一語一語がページの上に居場所を得るのです。

ライン編集による変化は劇的です。直す前と後の例を見てみましょう。「彼女は、たったいま起きたことにひどく腹を立てていることをうかがわせる様子で、部屋を横切って歩いていった」が、「彼女は部屋を突っ切った。歯を食いしばり、拳を握りしめて」になります。直したほうが短く、生き生きとしていて、説明せずに描写しています。ゴードン・リッシュがレイモンド・カーヴァーの短編に施した伝説的なライン編集は、文を骨だけになるまで削り、不要な語をすべて取り除いて、カーヴァーをミニマリズム文学の父に変えました。マックスウェル・パーキンズは、トマス・ウルフの膨大な原稿から何百ページも削りながら、ウルフの声は守り抜きました。最良のライン編集とは、編集者の文体を押しつけることではなく、作者の最良の姿を引き出すことなのです。

自分の作品をライン編集するときは、声に出して読みましょう。目では読み飛ばしてしまうリズムの乱れ、ぎこちない構文、意図しない繰り返しを、耳はとらえてくれます。意味を損なわずにまるごと削れる文を探してください。たいていの書き手が思っているよりずっと多く見つかります。「とても」「本当に」「ちょっと」「かなり」「いくらか」といった水増しの言葉は、はっきりした役目がない限り削りましょう。文の長さや組み立てに変化をつけてリズムを生み出します。長く込み入った文ばかりが続くと読者の感覚は鈍りますが、長い文がいくつか続いたあとの短い一文は強調になります。形容詞と副詞は一つひとつ確かめ、本当に役目を果たしているのか、それとも弱い動詞や名詞を支えているだけなのかを見きわめましょう。ライン編集には根気と何度もの読み直しが必要で、構成の問題が片づいてから取りかかるべきです。次の稿で削るかもしれない文章を磨いても意味がないからです。

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