用語集

コールドオープン(アバン)

タイトルやオープニングクレジットの前に始まる冒頭の場面。観客を一気に物語へ引き込むために置かれます。

最終更新

コールドオープンとは、映画やテレビドラマの一話を、オープニングのタイトルやクレジットが流れる前の場面から始める手法のことです。日本のアニメやドラマでいう「アバン(アバンタイトル)」にあたります。「コールド(冷たい)」という言葉は、前置きの枠組みが何もないことを指しています。観客は、タイトルやテーマ曲、状況説明といったおなじみの前置きなしに、いきなり行動や会話、空気のなかへ放り込まれるのです。コールドオープンのいちばんの目的は、最初の数瞬で視聴者の注意をつかみ、謎や問い、感情の揺さぶりを生み出して、見続けずにはいられなくすることです。娯楽の選択肢が無限にあり、いつでも別のものに切り替えたくなる時代にあって、コールドオープンは脚本家の道具のなかでも特に重要なものの一つになりました。

テレビは、コールドオープンを一つの芸術にまで高めました。『ブレイキング・バッド』は、ウォルター・ホワイトのプールに浮かぶピンクのテディベアのような謎めいた未来の場面から、説明抜きで観客を危機のただなかに放り込む緊迫した見せ場まで、さまざまなコールドオープンで高く評価されています。『ジ・オフィス』はコールドオープンを笑いに使い、テーマ曲が流れる前に、それだけで完結した小さなコントを見せて、その回の雰囲気を伝えます。『ロー・アンド・オーダー』は、一般の市民がコールドオープンで偶然犯罪に出くわすという型を生み出し、この構成はあまりに有名になって、ジャンルのお約束にまでなりました。映画では、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』が、ペルーの神殿での長いコールドオープンから始まります。本筋が始まる前に、インディ・ジョーンズの人柄、腕前、弱点を、生い立ちや説明を一言も使わずに見せてしまうのです。

効果的なコールドオープンを書くには、タイトルを越えてその回や映画の本編まで、観客の好奇心をつなぎとめる問いが何かを見きわめる必要があります。最も強いコールドオープンは、物語に空白をつくります。挑発的なもの、不穏なもの、不可解なものを観客に見せておいて、その説明を伏せるのです。テレビの脚本を書くなら、コールドオープンを、これがどんな回になるのかという視聴者への約束だと考えましょう。笑えるコールドオープンなら軽やかな回を期待させ、暴力的なコールドオープンならステークスと危険を予告します。コールドオープンを説明の置き場にするのは避けてください。視聴者の関心は、情報ではなく体験によって勝ち取るべきです。自分のコールドオープンを「登場人物たちが状況を説明する」と要約できてしまうなら、それは役目を果たしていません。この先どうなるのかを知らずにはいられなくなる何かを、観客に見せましょう。

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