製品アップデート

物語の背後にある世界を作り込む。マップ、カレンダー、家系図、そしてロア

Plotiar編集部約10分で読めます

前回のアップデートのテーマは、書くための場所でした。今回のテーマは、書いている物語の世界です。4つの新しいコンテンツタイプが加わりました。マップエディター、自分で設計できるカレンダー、親族関係をきちんと扱える家系図、そしてエディターが実際に内容を理解する設定資料のデータベース「ロア」です。さらに、ほかのツールから移ってくる方のためのScrivenerの取り込み、Markdownでの編集モード、出版用のエクスポートプロファイルを備えて作り直した書籍プレビュー、15種類のプリセットを持つドキュメントスタイルパネル、余白に表示されるブックマーク、そして残っていた課題のほとんどを解消するモバイルの改善の第2弾。そのすべての裏側で、サブスクリプション、権限、データの安全性について本格的な強化も行いました。

マップを描く

マップが、自由に操作できるコンテンツタイプになりました。画像を貼りつけるのではなく、世界観づくりのために作られた本格的なエディターです。

森、山、砂漠、水域を塗れる地形ブラシがあります。都市、ランドマーク、名所のためのマーカー、アイコン、SVGアートワークをそろえたスタンプのライブラリがあります。方位記号、凡例、ミニマップを重ねて表示できます。六角形や正方形のマップ用に、表示を切り替えられるグリッドがあります。期待どおりに動く元に戻す・やり直し。縮尺、色、スタイルの設定。共有や印刷のためのエクスポート。

公式サイトでは、マップのデモを『指輪物語』風のファンタジー地図として作り直したので、登録する前にこのツールで実際に何が作れるのかを確かめられます。ぜひ試してみてください。

自分だけの暦を作る

カレンダーには2つのモードがあります。プランニングモードは想像どおりのものです。締め切り、シーン、章を時間軸の上に並べ、プロジェクトと結びつけます。面白いのは世界観モードのほうです。日、月、週、季節を自分で作れます。ファンタジー世界を13か月の暦で動かしたり、はるか未来の植民星を1年400日にしたりすれば、プロジェクトのほかの部分もそれを正式な設定として扱います。

これまでどおり、出来事をドキュメントに結びつけ、どのシーンがいつ起きるのかを追い、年、月、日の表示を切り替えられます。カスタムカレンダーの設定は再読み込みしても正しく保持されるようになり、カレンダーを作るときには、黙って既定値にするのではなく、最初にモードを選ぶよう案内します。

家族とは何かをわかっている家系図

家系図は新しいコンテンツタイプで、汎用のノードグラフではありません。親、子、配偶者をそれぞれ別の関係として理解し、線を正しく引き、複数回の結婚やステップファミリーも図をごちゃごちゃにせずに扱い、コンテキストメニューのトグルで登場人物を故人として示せます。

各ノードには専用のカラーピッカーがあるので、家、勢力、血筋ごとに色で分けられます。配偶者の線は重ならずに表示されるようになりました。モバイルでは、ノードを長押しするとコンテキストメニューが開き、編集、削除、親族の追加ができます。

そして家系図は構造化されたデータなので、AIスタジオで家系図を生成できるようになりました。作品の設定を伝えて最初の家系の下書きを作らせ、そこから手を加えていけます。

ロア:エディターが参照する設定資料

今週いちばん野心的な追加です。ロアは、プロジェクトの設定を整理して蓄えておくデータベースです。登場人物、場所、アイテム、勢力、概念などを登録でき、各エントリーには名前、説明、属性、関係、別名があります。ここまでは目新しいものではありません。役に立つのは、エディターがそれを読み取る点です。

書いているあいだ、ロアのエントリーが本文に出てくるとPlotiarがそれを検出し、サイドパネルに表示します。どのエントリーがどのシーンに登場するかを示すヒートマップが見られます。登場人物の名前を、プロジェクト全体で、あるいは特定の視点人物の範囲だけ、特定の章だけで置き換えられます。一括置換して祈る必要はありません。プロジェクトをまたいだリンクにも対応しているので、シリーズを書いているなら、あるプロジェクトのロアを別のプロジェクトで活かせます。

その上に、Proユーザー向けのAI機能が重なっています。整合性チェック、視点人物を踏まえた提案、入力に合わせた自動リンクの同期などです。ただし、ロアの中心となる機能は誰でも使えます。Freeプランでも、料金を払わずにロアを作って使えます。アップグレードで手に入るのは、AIによる分析の部分です。

ロアは、全体のナビゲーション、ドキュメントエディターの右パネル、分割ビュー、サイドバーから開けます。英語、スペイン語、フランス語にも完全に翻訳されています。

Scrivenerのプロジェクトをそのまま持ち込める

.scrivファイルを直接取り込めるようになりました。フォルダーの階層を保ったまま、なかのRTFの内容を読み取ります。プロジェクトを手作業で作り直したくなくてPlotiarを試すのを先延ばしにしていたなら、Scrivenerのファイルを用意して、ドロップしてください。

あわせて、知らないうちにデータを失わせていた、ファイル取り込みの一連の問題を修正しました。

  • EPUBの取り込みで、複雑な入れ子構造の内容が抜け落ちていました。修正済みです。
  • PDFの見出しが本文に格下げされていました。修正済みです。
  • 見出しや空行のパターンが特殊なWordドキュメントも、きれいにドキュメントに分割されるようになりました。
  • Word、PDF、電子書籍からの貼り付けで、内容と関係のないHTMLを、ドキュメント内に目に見えるゴミとして表示するのではなく、取り除くようになりました。
  • アップロードに失敗したときは、ありきたりの「問題が発生しました」という通知ではなく、何がうまくいかなかったのかを説明するはっきりしたエラーを表示するようになりました。

Markdownモード

視覚的なツールバーよりも素のMarkdownが好きな方のために、ドキュメントエディターに専用のMarkdownモードを用意しました。オンにすると、シンタックスハイライト付きの素のMarkdownで書けます。オフにすると、書式の整った表示に戻ります。どちらでも内容は同じです。

Markdownモードは、ダークとセピアを含む3つのテーマすべてで使えます(初期にあった、ダークモードで文字が見えなくなるバグは修正済みです)。そしてもちろん、ほかのすべてのコンテンツタイプと同じく、Git連携とスナップショットの仕組みを通じてきれいに保存されます。

作り直した書籍プレビュー

以前の書籍プレビューは、おもちゃの域を出ないものでした。今は、原稿を出版に向けて準備するのに実際に使えるものになっています。

通して読むための連続表示と、ページ数に照らして校正するためのページ表示があります。出版プロファイルは、KDP、IngramSpark、一般的なペーパーバック向けにあらかじめ設定されていて、正しい判型、余白、裁ち落とし、本文の設定を含みます。ページサイズは、小型のマスマーケット・ペーパーバックからハードカバー、A判までそろっています。デバイスシミュレーションでは、Kindle、Kobo、スマートフォンで本がどう見えるかを、複数のデバイスを並べて確認できます。

ドロップキャップ、柱、章扉、行頭の字下げといった本格的な書籍組版の設定を、ひとつのパネルにまとめました。エクスポートも同じプロファイルに従うので、プレビューで見たとおりのものがPDFやEPUBとして出力されます。

ドキュメントスタイル:ワンクリックで15種類のプリセット

新しいドキュメントスタイルパネルでは、15種類のプロ仕様の書式プリセットを使えます。投稿用の原稿フォーマット、小説の本文、中編小説、学術論文、脚本に近い形式、詩集、日記、ほか数種類です。各プリセットは、ページサイズ、余白、フォント、文字サイズ、行間、文字間隔をひとそろいにしたものです。ひとつクリックするとドキュメントが変わります。別のものをクリックすると、また変わります。内容には手を触れず、変わるのはスタイルだけです。

余白にブックマーク

以前のブックマークは引き出しの中にしまわれていました。いまはドキュメントの余白にあります。ブックマークをつけると、その行の横に小さな印が表示されます。あとでスクロールして戻り、印をクリックすれば、元の場所に戻れます。ブックマークはコメントとも完全に統合したので、ブックマークした行に、その理由を説明するメモを添えられます。

モバイルでは、ブックマークをタップすると右のドロワーが開き、ブックマークのセクションまでスクロールされます。デスクトップでは、印はエディターの場所を取らずに、余白に控えめに表示されます。

AIスタジオがさらに充実

AIスタジオにいくつかの機能を追加しました。

  • カスタムプロンプト:生成用のプロンプトを自分で書いて保存し、組み込みのテンプレートと並べて繰り返し使えます。
  • 生成の種類が増えました:既存のラインナップに家系図の生成が加わり、今後さらに増えていきます。
  • インスペクトパネルの改善:分析したいテキストを手入力するためのインスペクトボタンを追加しました。また、パネルの内容がタブを切り替えてもページを再読み込みしても保持されるようになり、よそをクリックしただけで分析結果を失うことがなくなりました。
  • AI設定にクレジット使用量のバーを追加し、Proユーザーが月ごとの割り当てをどれだけ使ったかを確認できるようにしました。
  • Pro以外のユーザー向けに、AIインスペクトのインラインのアップグレードカードを用意しました。何が提供されるのかがわかりにくかったポップオーバーに代わるものです。

モバイル改善、第2弾

前回のアップデートでは、モバイルのレイアウトを作り直しました。今回は、実際に使い始めてみるとまだおかしかった部分を、すべて直しました。

テキストの選択が、きちんとしたモバイルの機能になりました。長押しで単語を選択し、ドラッグできるハンドルで選択範囲を広げ、外側をタップして選択を解除し、単語をダブルタップして選択できます。選択ハンドルは文字の上ではなく後ろに描かれるようになりました。何もない場所をダブルタップすると、選択しなくても貼り付け用のコンテキストメニューが開きます。

英語以外の言語でも単語を選択できます。ヘブライ語、アラビア語、キリル文字、ギリシャ文字のどれでも、単語が正しく区切られるようになりました。これらの言語で書いている方は、以前はモバイルで単語をうまく選択できませんでした。いまはできます。

エディターのツールバーが使えるものになりました。ボタンが大きくなりました。iOSのSafariでもドロップダウンが確実に開きます。項目が収まりきらないときはツールバーが横にスクロールし、まだ続きがあることを示す目印が表示されます。挿入メニューは分割したので、はみ出さなくなりました。デスクトップ版より短く、横にスクロールできるモバイル専用のコンテキストメニューもあります。

スクロールがもう邪魔をしません。スワイプすれば、うっかり文字を選択するのではなくスクロールします。ドキュメントエディターでは慣性スクロールが効きます。ドラッグでの並べ替えは、最初のタッチを横取りするのではなく、長押しが必要になりました。サイドバーのスクロール位置は、ドロワーを開閉しても保持されます。設定に移動すると、モバイルのサイドバーは自動で閉じます。

環境音がモバイルでも鳴ります。以前はブラウザーの音声の制限のせいで、何の表示もなく失敗していました。また、邪魔になるだけのいちばん小さな画面では、自動的に非表示になります。

モバイルでPDFを取り込めます。pdfjsのワーカーがモバイルブラウザー向けに正しく設定されるようになりました。エクスポートのダウンロードも、もう黙って失敗することはありません。モバイル向けに、進捗と完了をきちんと伝える流れを用意しました。

さらに、はみ出さずに横スクロールする設定のタブ、コンパクトな料金カードを並べたボトムシートとして作り直したアップグレードのダイアログ、小さな画面に合わせた、ロックされた機能の画面のスナップショットのプレビュー、画面に収まるサポートのダイアログ、そしてアバターのメニュー、ダイアログの余白、固定ヘッダー、上部バー、フローチャートと家系図でのドラッグ時のちらつきに関する、約30件の小さな修正もあります。以前のモバイルが未完成に感じられたなら、今はまるで別のアプリです。

スペルチェックを作り直しました

以前のスペルチェックは、出来がよくありませんでした。今は違います。

辞書は実行時に取得するのではなく、ビルド時に同梱するようになったので、オフラインでも動き、初回の使用で止まることもありません。チェックは差分方式です。段落を編集すると、ドキュメント全体ではなく、その段落だけがチェックし直されます。複合語にも対応しています。スマートクォートを使った短縮形にも対応しました(カーブしたアポストロフィの「don't」で誤検出が出なくなりました)。大文字で始まる固有名詞も認識します。エディターの大きさを変えても、下線の位置はずれません。右クリックメニューに、ちゃんと修正候補が表示されるようになりました。

非常に確度の高い修正を自動で行う自動修正の設定もあります。初期設定ではオフです。信頼できると思ったらオンにしてください。

エディターの仕上げ

エディターそのものについて、小さいけれど実感できる修正が数多くあります。

  • 矢印キーは、見た目のグリフ単位ではなく、論理的な文字単位で移動するようになりました。以前の動きがわかりにくかった、右から左に書く言語や、書字方向が混在するテキストで効いてきます。
  • 位置によって文字がちらつく問題:ページ上の位置によって、文字の大きさがわずかに変わっていました。描画処理で拡大縮小したフォントをキャッシュすることで修正しました。
  • ページの境目でのカーソルや注釈が、まちがったページに表示されていました。修正済みです。
  • 空のリスト項目でEnterキーを押すと、Wordと同じようにリストを抜けるようになりました。
  • ヘブライ語キーボードでのCtrl+Zなどのショートカットは前回のアップデートで修正済みですが、今回は同じ修正をモバイルのスワイプ入力と単語単位のBackspaceにも広げました。
  • 両端揃えがヘブライ語や右から左に書くテキストでも表示されるようになり、右端の極端なずれがあってもレイアウトが崩れなくなりました。
  • ドキュメントの既定のフォントサイズを11から16に変えました。以前の既定値では、ぱっと見て窮屈なドキュメントになっていました。
  • 見当たらなかったコンテンツタイプ:コルクボード、カレンダー、マップ、家系図、ロアといった新しく加わったタイプが、すべてのコンテキストメニューとコマンドパレットに表示されるようになりました。
  • サイドバーで、コンテンツをプロジェクトをまたいでドラッグ&ドロップできるようになりました。
  • 今見ているコンテンツを削除すると、壊れたページに置き去りにするのではなく、プロジェクト一覧へ移動するようになりました。

舞台裏

今回の開発期間のかなりの時間を、目には見えないけれど大切な仕事に費やしました。

サブスクリプションの仕組みを、状態遷移モデルとして全面的に書き直しました。サブスクリプションの変更はすべて、監査ログを備えたひとつの調整処理を通るようになり、同時に届くWebhook、ユーザーの操作、Stripeのイベントがデータベースを不整合な状態に置き去りにすることが、ずっと起きにくくなりました。返金、異議申し立て、請求のイベントは明示的に処理されます。プロモコードの適用は2段階の確認手順を使うので、取り消すつもりだったコードをうっかり使ってしまうことはありません。バックグラウンドのジョブが期限切れ間近のサブスクリプションを照合するので、知らないうちに失効することもありません。

関連して、広告表示の監査も行いました。料金ページで約束しているすべての機能が、約束したプランで実際に存在し、動いているかを確かめるものです。2つの記載を削除し(Plusの未実装の「カスタムテーマ」機能と、まちがっていたBYOKに関する記述)、いくつかの機能を正しいプランに正式に登録して、ずれを防ぐテストでその状態を守るようにしました。スマートコンテンツのうちAIを使う部分はProのみであることを明確にし、AIを使わない書式の補助機能はPlusとしました。

また、ユーザー間のデータ漏えいのバグも塞ぎました。同じブラウザーでサインアウトして別のアカウントでサインインし直すと、アプリがキャッシュを更新するまでのわずかなあいだ、前のアカウントのデータが見えてしまうことがあったのです。これは修正済みで、修正はテストで守られています。

セキュリティの面では、一連の脆弱性の修正、機能アクセスのチェックを安全側に倒す既定値の変更(以前は未知の機能キーが「許可」と判定されていましたが、今は「拒否」と判定されます)、そしてエクスポート、分析、AIスタジオの権限の境界に関する徹底的なテストを行いました。

どれも、日々のアプリの使い心地を変えるものではありません。すべて、いずれ皆さんが気づいていたはずのバグを未然に防ぐ、そういう種類の仕事です。

ほかにも触れておきたい小さなこと

Cookieの同意について、設定 > 法的情報にトグルを用意したので、最初のバナーのあとでも考えを変えられます。

AIについての考え方、つまり創作においてAIをどう使うべきで、どう使うべきでないかという私たちの理念を、「Plotiarについて」ページの独立したセクションにまとめました。

ロゴのファビコンが、iOSやAndroidのホーム画面向けの暗い背景のアイコンも含めて、ようやくどのサイズでもくっきり表示されるようになりました。

ブラウザーのズームが、フローチャート、アイデアボード、家系図のページからアプリのほかの部分に漏れ出すことはなくなりました。

マーケティングサイトには、ロアとマップのセクション、デモを大きくして作り直した機能紹介ページ、静止画のスクリーンショットではなく実際に操作できるブログのデモ、フッターのRedditへのリンク、そして競合分析の更新が加わりました。

削除されたドキュメントやアクセスできないドキュメントを開いたときに、壊れて見える空のエディターではなく、「ドキュメントが見つかりません」という画面が表示されるようになりました。

次に予定していること

マップ、カレンダー、家系図、ロアという世界観づくりの4つの新しいツールは、もっと大きなものの始まりです。今はどれも独立したコンテンツタイプですが、互いに、そしてドキュメントとリンクし合うように設計されています。マップ上のある場所がロアのエントリーでもあり、第7章で触れられていて、カレンダー上ではひとつのシーンとして見える。そうした相互のリンクが、次に来るものです。

エディターそのものにも引き続き力を入れていきます。入力の遅延、とても長いドキュメントでのスクロール性能、そして毎日何時間もここで過ごす書き手にとって「速い」と「速さを意識しないほど速い」を分けるさまざまな点です。

この記事で紹介したものはすべて、すでに使えます。何かうまく動かないことがあれば、教えてください。いただいたフィードバックにはすべて目を通していて、それが次にリリースするものを直接形づくっています。

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