物語をコルクボードにピン留め。フォーカスモード、環境音、モバイルの全面刷新も
前回のアップデートのテーマはバージョン管理とレイアウトでした。今回は、書く場所を「自分の場所」だと感じられるようにすることがテーマです。構想のためのコルクボード、取り組んでいる文以外をすべて薄くするフォーカスモード、気分を整える環境音、そしてモバイルの全面的なデザイン刷新。さらに、地味ながら確かな違いを生む約20件の小さな改善もあります。
物語をコルクボードにピン留め
小説を構想するためにインデックスカードを壁にピンで留めたことがあるなら、これが何なのかはもうおわかりでしょう。コルクボードは、物語を視覚的に構想するための新しいコンテンツタイプで、現実のコルクボードが本来こうあるべきだった形で動きます。
各カードにはタイトル、その場で編集できるあらすじ、そして任意のメタデータがあります。アイデア、下書き、推敲中、完成といったステータスのスタンプ、視点人物やサブプロットを追うためのラベル、自由に分類できるタグ、プロジェクト内のほかのドキュメントへのリンク、そしてシーンや章ごとの目標語数です。
3つの表示モードから、自分の頭の働き方に合ったものを選べます。
- グリッド:ドラッグ&ドロップで並べ替えられる、おなじみのカードのレイアウト。章を順番に構想するのに向いています。
- フリーフォーム:キャンバス上の好きな場所にカードを置けます。物語の構成が一直線ではないときに向いています。
- ラベル別レーン:カードをラベルごとに横方向のレーンにまとめます。各レーンが視点人物、サブプロット、時間軸になるカンバンボードだと考えてください。異なる筋が物語のなかでどう織り合わさっているかが一目でわかります。
カードは3つのサイズから選べ、ステータスで絞り込んだり検索したりでき、ステータス、ラベル、タイトル、手動の順で並べ替えられます。そしてPlotiarのほかの機能と同じく、共同執筆者と作業していれば、コルクボードもリアルタイムで同期されます。
本当に集中できるフォーカスモード
たいていの「気が散らないモード」は、ツールバーを隠すだけです。私たちのモードは、文章そのものを薄くします。
選択範囲フォーカスは、選択したテキストだけを際立たせ、それ以外をすべて薄くします。章のほかの部分に気を取られずに、ひとつの段落の文章を推敲したいときに向いています。
会話フォーカスは、ドキュメント内のかぎ括弧や引用符で囲まれた会話をすべて自動で検出して際立たせ、周りの地の文を薄くします。ペースを確かめたり、登場人物ごとに話し方がきちんと違っているかを確かめたりするために、場面の会話だけを読み通したいときに使えます。
言語フォーカスは、自然言語処理を使って特定の品詞を際立たせます。名詞、動詞、形容詞、副詞をオンにすると、それ以外がすべて薄くなります。蛍光ペンに見せかけた推敲ツールです。副詞が多すぎる?見ればわかります。どの文も弱い動詞に頼っている?一目瞭然です。創作の指南書が手作業でやれと勧めるたぐいの分析を、今はエディターがやってくれます。
3つのモードにはすべて、ほんのり薄くするところからほとんど見えなくするところまで調整できる強度のスライダーがあり、薄くする対象をドキュメントだけにするか、サイドバーやツールバーを含むアプリ全体にするかを選べます。設定は次回以降も保持されます。
雨音を聞きながら書く
Plotiarに8種類の環境音が組み込まれました。雨音、暖炉、森、波の音、風、ホワイトノイズ、カフェ、雷雨です。ひとつ選んで音量を調整し、書き始めましょう。
どの音も、ブラウザーの音声エンジンを使ってプログラムでその場で生成されます。ダウンロードするファイルも、読み込みの待ち時間もなく、オフラインでも動きます。30秒ごとに繰り返すループではありません。途切れることなく生成され続けるので、雨音が同じように聞こえることは二度とありません。
環境音はサイドバーのメニューか設定から使えます。デスクトップでは、浮かんで表示されるミニプレーヤーで、ドキュメントを離れずに音を切り替えたり音量を調整したりできます。選んだ音と音量は次回以降も保持されます。
3段階の没入モード
ステータスバーに、3つの全画面モードを順に切り替える分割ボタンが加わりました。
- フルスクリーン:すべてのUIを表示したままの、通常のブラウザーの全画面表示。使える画面は広く、道具はそのまま。
- クリーン表示:サイドバーとサイドパネルを隠します。ドキュメントとツールバーだけになり、注意を奪い合うものはほかにありません。
- ディープフォーカス:すべてを隠します。サイドバーもツールバーもステータスバーもなし。あるのは自分の言葉と、終わったときに抜け出すための小さなボタンだけです。環境音とフォーカスモードを組み合わせれば、外の世界は本当に消えてなくなります。
1つのドキュメントを2つに。3つを1つに。
分割:ドキュメント内の好きな場所で右クリックし、「ここでドキュメントを分割」を選びます。カーソルより前の部分は元のドキュメントに残り、後ろの部分はすべて新しいドキュメントになって、プロジェクト内のすぐ隣に置かれます。第12章が実は2つの章だったとわかっても、コピー&ペーストの長丁場にはなりません。10秒で片づきます。
マージ:サイドバーでドキュメントを右クリックし、「ドキュメントをマージ」を選びます。まとめるドキュメントを選び、ドラッグして順番を決め、マージ後の名前をつけ、必要ならセクションのあいだに区切りを挿入します。マージ後は元のドキュメントが削除されるので、重複したものが残ることはありません。
どちらの操作も途中で中断されない一体の処理として、共同編集の状態に直接はたらくので、そのとき共同執筆者と作業していても、データが失われるおそれはありません。
文字組みは、自分の流儀で
今週は、ドキュメントの見た目を自分で決められるようにするアップデートがいくつかあります。
フォントライブラリ:設定から65種類以上のフォントを使えるようになりました。セリフ、サンセリフ、ディスプレイ、スクリプト、等幅のカテゴリーに分かれています。エディターのフォント選択にどのフォントを表示するかを選べます。小説はGaramondで、論文はTimes New Romanで書くなら、ツールバーにはちょうどその2つだけを表示するように設定できます。Google Fontsは必要なときに読み込まれるので、パフォーマンスに影響するのは実際に使うフォントだけです。
ページサイズ:ドキュメントはもうA4に固定されていません。詳細パネルでA4、A5、USレター、USリーガル、A3から選べます。エクスポートは選んだサイズに従い、WordドキュメントやPDFを取り込むと、元のページサイズを自動で検出します。
行間と文字間隔:行の高さと文字の間隔を細かく調整できる、2つの新しいドロップダウンをツールバーに追加しました。原稿用のダブルスペース、メモ用の詰めたシングルスペース、見出し向けの広めの字間まで、エディターを離れずに設定できます。
ドキュメントの既定値:設定に新しいセクションを設け、新しく作るすべてのドキュメントについて、既定のページサイズ、フォント、フォントサイズ、余白、行間、文字間隔を設定できるようにしました。既存のドキュメントはそのまま変わりません。
Plotiarをアプリのようにインストール
Plotiarはプログレッシブウェブアプリ(PWA)になりました。デスクトップ、タブレット、スマートフォンのどのデバイスでも、ネイティブアプリと同じようにインストールして、ホーム画面やDockから起動できます。専用のウィンドウと専用のアイコンを持ち、アプリの骨組みがローカルにキャッシュされるので、2回目以降はより速く読み込まれます。
インストールの案内が端末の種類を判別し、手順を説明します。ChromeとEdgeならワンクリックです。Safariでは手順を一つずつ説明します。案内を閉じると、1週間は再表示されません。アップデートをリリースしたときは通知が表示され、再読み込みすれば最新版になります。
本当に使えるモバイル
モバイルの体験を一から作り直しました。
以前の固定ヘッダーはなくなりました。代わりに、サイドバーとパネルを開くフローティングアクションボタンと、ドキュメント名と共同編集者のアバターを表示する細いインラインバーを置きました。これで、スマートフォンの画面の縦幅をまるごと執筆に使えます。
ドキュメントエディターには、保存状態、語数、スペルチェックの切り替えを表示する新しい下部ステータスバーと、デスクトップのツールバーを縮めたものではなくタッチ操作向けに設計したモバイル専用の書式ツールバーが加わりました。
サイドバーで5つのアクションボタンが重なり合うこともなくなりました。ひとつのメニューにすべてが入っています。共有のドロワーは小さな画面向けにデザインし直しました。統計ページ、プロジェクトのトップ画面、テンプレートのカードも、すべて狭い画面にきちんと合わせて表示されるようになりました。チェックリストの項目がページの端からはみ出すこともありません。エディターは、内容がずれ動くことなく、確実に画面いっぱいに表示されます。
以前スマートフォンでPlotiarを試してあきらめたなら、もう一度試してみてください。
あらゆる言語とキーボードのために
英語以外の言語で書く方にとって大きな意味を持つ修正が2つあります。
キーボードショートカットが、どの配列でも動くようになりました。以前は、エディターが物理的なキーではなく入力された文字を読み取っていたため、ヘブライ語キーボードでCtrl+Zを押すと、取り消しではなくCtrl+ザイン(ヘブライ文字)が送られていました。ショートカットは物理的なキーの位置を使うようになったので、Ctrl+Z、Ctrl+B、Ctrl+Sをはじめ、すべてのショートカットが入力言語にかかわらず動きます。
どの文字体系でも、テキストを正確に選択できます。以前は、ヘブライ語、アラビア語、日中韓の文字でクリックしてカーソルを置こうとすると、計測エンジンが1文字ごとに数値を丸めていたせいで、数文字ずれた位置に置かれていました。より正確な方式に切り替え、どの文字体系でもカーソルが正確な位置に置かれるようになりました。
そのほかの改善
Ctrl+マウスホイールでドキュメントを拡大・縮小できます。マウスの中ボタンで画面を移動できます。ほかの創作ツールでこうした操作を使っているなら、ここでも同じように使えるようになりました。
両端揃えには、描画処理を止めてしまい、内容が真っ白に表示されることがあるバグがありました。修正済みです(データが危険にさらされたことは一度もありません。ドキュメント自体は無事で、壊れていたのは表示だけでした)。
ときどき発生していた「Failed to fetch」エラーは、わかりにくいエラーメッセージを表示する代わりに、よりわかりやすい表示とともに自動で再試行するようになりました。
サイドバーのカラーピッカーは、処理の競合のせいで反映が遅れ、ときには選んだ色が元に戻ってしまうことがありました。色はすぐに反映されるようになりました。
サーバー全体についても、セキュリティと安定性を徹底的に見直しました。プロジェクトの権限、コンテンツ削除後の後片づけ、キャッシュの無効化、サブスクリプションの処理における特殊なケースを修正しています。どれも目には見えませんが、いずれ皆さんが気づいていたはずのバグを未然に防ぐ、そういう種類の仕事です。
次に予定していること
コルクボードはまだ最初の版です。カードとドキュメントを結びつけ、コルクボードから原稿のアウトラインを直接作れるようにすること、そして三幕構成、SAVE THE CAT、英雄の旅といった定番の物語の型に合わせて、あらかじめ組み立てられたコルクボードを用意するテンプレートについて、すでに検討を始めています。
フォーカスモードは、もっと賢くなっていきます。文の複雑さ、読みやすさのスコア、感情のトーンによる強調などです。環境音も増えていきます。音のレイヤーを重ねられるようにして、雨と暖炉、カフェと雷雨のように組み合わせられるようにする予定です。
この記事で紹介したものはすべて、すでに使えます。何かおかしいと感じたら、教えてください。いただいたフィードバックにはすべて目を通していて、それが次に作るものを直接形づくっています。