シリーズ・バイブル テンプレート
シリーズ・バイブルは、複数巻にまたがるプロジェクトのマスターリファレンスとなる文書です。個々の巻の上位に位置し、すべての巻にわたって一貫させなければならないもの(あるいは、追跡可能な形で進化させていくもの)を管理します。シリーズの第3巻になる頃には、シリーズ・バイブルを持たないことの代償が痛みを伴って表れてきます。巻によって変わってしまう瞳の色、巻のあいだでぶれていく技術の規則、もはや自分自身と整合しなくなったタイムライン、名前さえ思い出せない脇役たち。
このテンプレートは、現役の作家が実際に必要とするレベルのシリーズ・バイブルを組み立てるための枠組みを提供します。主に小説のシリーズ――ファンタジー三部作、繰り返し同じキャストが登場するロマンス・シリーズ、看板探偵が戻ってくるミステリー・シリーズ、複数巻にまたがる SF 世界――を想定しています。同じテンプレートは、テレビ番組のライターズルーム、コミックの継続シリーズ、その他の長期連載プロジェクトにも応用できます。
ひとつ重要な原則があります。シリーズ・バイブルは、ワールドビルディング・バイブルと同じものではありません。ワールドビルディング・バイブルは、世界の固定的な特徴――地理、魔法、歴史――に焦点を当てます。シリーズ・バイブルはそのすべてを覆います。世界、キャラクター、プロットの弧、出版レベルでの判断。ワールドビルディング・バイブルはシリーズ・バイブルの一節として組み込んでもよいですし、シリーズ・バイブルから参照する別文書として保持しても構いません。どちらの形でも機能します。
セクション 1: シリーズ全体の前提
個々の巻を超えて、このシリーズが何であるかを明文化します。前提は、文学イベントで誰かに呼び止められたとしても、ひと段落でシリーズ全体を売り込めるくらいに鋭いものでなければなりません。
シリーズのログライン
シリーズ全体を一文で表したピッチ。特定の巻ではなく、シリーズそのものについて書きます。「悲嘆に暮れる刑事が、5件の捜査と15年にわたる時間をかけて、結局は自分自身であった連続殺人犯を追う物語」。シリーズのログラインは、個々の巻すべての枠組みを定めます。
シリーズの弧
シリーズが語る大局的な物語。主人公はシリーズ全体を通じてどのような旅をするのか。どこから始まり、どこへ行き着くのか。たとえ最終巻をまだ書いていなくても、ルートは変わるとしても、目的地は知っておくべきです。
シリーズのテーマ
シリーズが全巻を通して探究するテーマ的な問い。個々の巻は異なる角度から接近してよいのですが、同じ根本的な問いと対話していなければなりません。「忠誠を尽くすべき相手が間違っていたとき、忠誠はいくらの代償を払わせるのか」「人は子ども時代に負った傷を、走って追い越すことができるのか」。シリーズのテーマは、哲学的な背骨です。
ジャンル上の位置取り
シリーズが市場のどの一角を占めるか。具体的に。「マサチューセッツ州の小さな町を舞台にしたコージーミステリー」「ハードマジックでグリムダークなトーンのエピックファンタジー」「ニューロダイバーシティを抱えた主人公二人と、じっくりと進む現代ロマンス」。ジャンル上の位置取りを知っておくことは、創作面でもマーケティング面でも役立ちます。
ここで書くこと: 短い4つのパート。ログライン、弧、テーマ、ジャンル。
セクション 2: 巻マップ
シリーズを、一連の巻として計画していくセクションです。第1巻と第5巻のあいだで、この内容が大きく変わるのは当然のことで、想定済みです。ただし、開始時点での作業バージョンは必要です。
計画中の各巻について、次の情報を記します。
- 巻番号と仮タイトル: 変更前提です。
- 巻のログライン: その特定の巻を一文で表すピッチ。
- シリーズの弧における位置: その巻が大局の物語の中で何を達成するか。仕込みの巻か、中盤の反転か、結末手前の暗い転換か、解決か。
- この巻のキャスト: どのレギュラー登場人物が登場するか、加えてその巻だけの登場人物。
- ステータス: 草稿済み、アウトライン済み、計画中、概略、構想段階。各巻の状態を把握することで、プランニングに割く労力を配分できます。
ここで書くこと: 計画中の各巻に短いエントリーを。シリーズとしては3巻が無理のない最低ラインです。5〜7巻が、計画される弧の典型的な範囲になります。
セクション 3: レギュラー登場人物
複数の巻に登場するキャラクターたちのことです。各キャラクターについて、次の情報を捉えます。
- 名前と役割: 一行で識別できる説明。
- シリーズの弧: このキャラクターが第1巻でどこから始まり、最終巻でどこへ行き着くか。個々の巻の弧とは別の、シリーズ全体にわたる大局的な旅。
- 登場する巻: どの巻に登場するか。シリーズから長く姿を消していないかを追跡するのに役立ちます。
- 連続性に関わる事実: 巻をまたいで一貫させなければならない固定的なディテール――身体的特徴、バックストーリー、主要な人間関係、確立されたスキル。第1巻で緑色だった瞳が第3巻で青くなる、といった誤りを防ぐ項目です。
- 声のメモ: 話し方の癖、口癖、決め台詞。次の巻まで1年空けば、声の一貫性は最も簡単にぶれてしまうものです。
ここで書くこと: レギュラー登場人物ごとのプロファイル。大所帯のレギュラーキャストを持つシリーズでは、このセクションは大きくなります。Plotiar のフローチャートで、キャストと関係性を可視化できます。
セクション 4: 世界と舞台
シリーズ全体に関わるワールドビルディングです。別途ワールドビルディング・バイブル テンプレートを使っているなら、そこを参照します。別バイブルを必要としないシリーズなら、ここで直接ワールドビルディングを保持します。
- 世界のルール: 魔法体系、技術、社会構造、地理、その他の思弁的・特徴的な要素。読者にすでに真実として伝えられたことは、物語が明示的に進展させない限り、真実のままでなければなりません。
- ロケーション: 繰り返し登場する場所。主人公の故郷、組織の本部、シリーズが何度も戻ってくる街。重要な場所には、短い説明と、登場する巻のリストを添えます。
- 歴史と伝承: シリーズが正典として扱う過去の出来事。一部の伝承は巻をまたいで徐々に明かされていきます。何をすでに開示したか、何を温存しているかを追跡します。
- 制度: 学校、政府、ギルド、血統、秘密結社。キャラクターたちが動き回る固定的な構造です。
セクション 5: シリーズ規模のプロットの糸
複数の巻にわたる弧のことです。これらは、個々の巻の弧とは別物です。
- 大局のプロットの糸: シリーズ全体が答えようとしている、包括的なプロットの問い。第1巻から最終巻まで貫かれる中心的な葛藤は何か。
- 副次的な糸: 複数の巻にまたがるサブプロット。シリーズを通じて発展していくキャラクター同士の関係、3巻にわたって登場する敵対者、シリーズ全体をかけて解かれる謎。
- 仕込みと回収: 早めに撒かれて後で回収される糸。仕込みのひとつひとつには、回収する巻の計画があるべきです。決して解決されない、宙ぶらりんの仕込みは、シリーズの書き手にとっての悪夢です。
- 後の巻のために温存する伏線: 第1巻で撒いて第4巻で回収したいもの。失わないよう、明示的に追跡します。
セクション 6: 連続性データベース
参照のレイヤーです。すでに本文に登場し、そのために確定してしまった粒度の細かいディテールたち。
草稿が完成した、あるいは出版された各巻について、次のことを記します。
- 確定した事実: 本文中に書かれた、今後の巻で尊重しなければならない事項のすべて。キャラクターの出身地、魔法体系のルール、日付、関係性の状態。
- 固有名詞のついたもの: 命名されたあらゆるキャラクター、ロケーション、物品、組織、用語。「固有名詞リスト」は、村の名前を思い出せなくなってもそれを一貫して使い続けるのを助けてくれます。
- 巻末時点でのキャラクターの状況: 生存、死亡、変容、追放。各巻の終わりに、各キャラクターがどこに行き着いているか。
- 未解決の糸: その巻で開かれたが、まだ回収されていないプロットの糸。解決するまで追跡し続けます。
ここで書くこと: このセクションは巻ごとに育っていきます。第1巻のあと、その巻について上記すべてを記録します。以降の巻でも同じことを繰り返します。
セクション 7: 文体と作家としての判断
シリーズを通じて一貫させるべき、創作上の判断です。ここでの揺らぎは、シリーズで最も目に見えにくく、しかし最も損害の大きい誤りのひとつです。
- 視点(POV)の方針: 単一視点か複数視点か、一人称か三人称か、現在形か過去形か。第1巻で確立されると、あとから変更するのは難しくなります。
- 声とトーン: 散文の登録域。叙情的、削ぎ落とした文体、皮肉、フォーマル。巻をまたいで一貫性を保ちます。
- 章の構造: 標準的な章の長さ、部分(パート)区分の使用、シーン区切りの慣習。
- 繰り返される文体的特徴: そのシリーズに固有のもの。斜体で表す内面の独白、訳されない用語、エピグラフ、共通する書き出しのパターン。署名的な特徴があるなら、それを文書化しておきましょう。
セクション 8: 出版とマーケティングの参照情報
シリーズに関するビジネスレベルの事実です。インタビューに答えるとき、裏表紙の文案を書くとき、宣伝担当に状況を共有するときに役立ちます。
- 巻ごとの目標文字数: ジャンルの慣習とシリーズで確立されたパターンに基づき、各巻が到達すべきおおよその長さ。
- コンプタイトル(類似作品): 市場の中でシリーズと並ぶ書籍と著者。ピッチング、マーケティング、メディアミックスの売り込みに役立ちます。
- 読者の期待: シリーズが暗黙のうちに交わしてきた約束――「恋愛対象は生き残る」「終盤に登場するキャラクターが犯人になることはない」「各巻は部分的な引きで終わる」など。期待を裏切ることには力がありますが、それは意図的に行うべきです。
- シリーズの状況: 進行中、休止中、完結。書き手の人生と版元のパイプラインの中で、シリーズが今どこにあるか。
このテンプレートのカスタマイズ方法
- 三部作の場合: すべてのセクションが該当しますが、セクション2(巻マップ)は最初から緊密に計画できます。3巻という構成は、設定・対立・解決という、すっきりした三幕構造をシリーズ全体に与えてくれます。
- 終わりのないシリーズ(ミステリー、アーバンファンタジー、ロマンス)の場合: セクション5(シリーズ規模のプロットの糸)が決定的になります。終わりのないシリーズは、巻ごとの自己完結性を保ちつつ、多くの巻にわたって展開する大局の弧の強さによって生死が決まります。
- 相互につながった単独作品群の場合: セクション3(レギュラー登場人物)とセクション4(世界)が重みを担います。相互につながった単独作品群は、連続したプロットを共有することなく、世界やキャストを共有します。バイブルの仕事は、共有要素を一貫させることです。
- テレビ形式のシリーズの場合: 各シーズンを1冊の小説に相当するものとして扱います。セクション2の「巻マップ」は、シーズン単位の計画になります。セクション7の声とトーンが、ショー・バイブルそのものになります。
- シリーズの中盤で始める場合: バイブルを持たずに数巻書き進めてしまった場合は、あとからさかのぼって作ります。既刊を読み直し、すでに印刷されたものからセクション6(連続性データベース)とセクション3(レギュラー登場人物)を抽出します。これは骨の折れる作業ですが、次の巻で即座にその価値が報われます。
シリーズ・バイブルを Plotiar で組み立てましょう。 前提、巻の構成、キャスト、世界、連続性のすべてをひとつのプロジェクトの中でリンクさせ、すべての巻が同じ真実の源から書かれるようにしましょう。無料で試す。